ユーザー管理 (Users) は、Vtiger CRMにログインして利用する「従業員(スタッフ)」のアカウントを作成・管理する機能です。

ここでは、単にIDとパスワードを発行するだけでなく、そのユーザーが「組織のどこに属するか(ロール)」(ロールの設定によって「どのデータを閲覧・編集できるか(プロファイル)」といった重要なセキュリティ権限)を設定します。

0. 機能イメージ図

ユーザー作成における「基本情報」と「2つの権限(ロールとプロファイル)」の関係性を図解しました。

graph TD
    ADMIN("👤 管理者")
    NEW_USER["新規ユーザー作成画面"]
    
    subgraph INFO ["基本情報設定"]
        IDPASS["🔑 ID・パスワード"]
        EMAIL["📧 メールアドレス"]
    end

    subgraph PERM ["権限設定"]
        ROLE{"Role (ロール)"}
        ROLE_DESC["階層・組織図<br>誰のデータが見えるか"]
        
        PROFILE{"Profile (プロファイル)"}
        PROFILE_DESC["操作権限<br>何をして良いか<br>(閲覧・編集・削除)"]
    end
    
    FINISH("✅ 登録完了")

    ADMIN --> NEW_USER
    NEW_USER --> INFO
    NEW_USER --> PERM
    
    INFO --- IDPASS
    INFO --- EMAIL
    PERM --- ROLE
    PERM --- PROFILE
    
    ROLE --- ROLE_DESC
    PROFILE --- PROFILE_DESC
    
    INFO --> FINISH
    PERM --> FINISH

    style ADMIN fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0
    style PERM fill:#fff3e0,stroke:#ef6c00,stroke-width:2px
    style FINISH fill:#e8f5e9,stroke:#2e7d32,stroke-width:2px

1. 主な特徴

  • ログインアカウント作成: 社員一人ひとりに対して、固有のログインID(ユーザー名)とパスワードを発行します。
  • 権限の割り当て: 「営業部長」「一般社員」といった役割(Role)と、「削除禁止」「エクスポート禁止」といった操作権限(Profile)を組み合わせて管理します。※権限はプロファイルを利用せずロールに直接割り当てることも可能です。
  • 個人設定の管理: ユーザーごとの言語、タイムゾーン、通貨、日付フォーマットなどを設定できます。
  • ステータス管理: 退職者などのアカウントを「非アクティブ(Inactive)」にして、ログインを停止しつつデータは残すことができます。

2. 設定画面へのアクセス

  1. 画面右上の 歯車アイコン(設定) > CRM設定 をクリックします。
  2. ユーザー管理 > ユーザー をクリックします。

3. 設定手順

3.1. 新規ユーザーの作成

  1. 画面右上の + ユーザーの追加 ボタンをクリックします。
  2. 以下の3つのタブ(ブロック)に情報を入力します。

A. ログイン詳細

システムにログインするための基本情報です。

項目名説明
ユーザ名ログインIDです(一意である必要があります)。
パスワード / 確認ログインパスワードを設定します。
電子メールユーザーのメールアドレスです(通知やPWリセットに使用)。
管理者「On」にすると、すべての権限を持つシステム管理者になります。
※通常は「Off」にしておき、特定の管理者のみOnにします。
ステータス「有効」でログイン可能、「Inactive」でログイン不可となります。

B. ユーザー情報

氏名や連絡先、そして最も重要な権限設定を行います。

項目名説明
姓 / 名氏名を入力します。
ロール【重要】 組織図上の役割(課長、担当など)を選択します。
※上位のロールは、下位のロールのデータを見ることができます。

C. 詳細設定

表示形式や通知設定を行います。

項目名説明
通貨使用する通貨(Yenなど)を選択します。
数値の区切り方数値の区切り方(123,456,789 など)を選択します。
日付形式日付の表示形式(yyyy-mm-dd など)を選択します。
タイムゾーンタイムゾーン(Asia/Tokyo)を選択します。
言語画面の表示言語を選択します。
  1. 入力が完了したら保存 をクリックします。

4. ユーザーの削除(または停止)について

Vtigerでは、データ保全の観点から、ユーザーを物理的に「削除(Delete)」する際、そのユーザーが担当していたレコードを「他のユーザーに引き継ぐ(Transfer)」必要があります。

  • 退職者の扱い:
    • 基本的には削除せず、ステータスを Inactive(非アクティブ) に変更することを推奨します。
    • これにより、過去の履歴(誰が対応したか)を残したまま、ログインだけを禁止できます。
  • 削除する場合:
    • ユーザー一覧の先頭の3本線のメニューの削除をクリックすると、ユーザ削除の画面が表示されます。
    • 「Transfer records to user(レコードの引き継ぎ先)」で、後任者を選択してから保存してください。

5. 活用事例(レシピ)

事例1: 一般営業担当者の作成

  • ロール: 「営業担当」
    • ※上位のマネージャーにはデータが見えるが、隣の部署のデータは見えない設定。
  • プロファイル: 「営業用」
    • ※「見積書」は作成できるが、「削除」や「データのエクスポート」は禁止する設定。
  • 管理者: Off

事例2: 経理担当者の作成

  • ロール: 「経理」
  • プロファイル: 「経理用」
    • ※「請求書」や「入金管理」にはアクセスできるが、「商談」や「リード」は見えない(または編集不可)設定。

事例3: システム管理者の追加

  • ロール: 「CEO」または「Administrator」
  • プロファイル: 「Administrator(全権限)」
  • 管理者:On
    • ※設定画面(CRM設定)に入れる特権ユーザーです。