目次

1. 設計の基本方針

本資料は、技術者派遣・SES、請負・準委任によるシステム開発、自社開発のソリューション・クラウドサービスを提供する中小・中堅IT企業を想定した、OSS版VtigerCRMの構築・導入設計案である。IT企業では、同じ顧客に対して複数の事業部門が接点を持ち、営業案件、技術者提案、開発プロジェクト、保守契約、サポート問い合わせが並行して進むことが多い。

現状の情報は、ExcelやGoogleスプレッドシート、メール、チャット、名刺管理、プロジェクト管理、勤怠・工数、会計・請求システム等に分散しやすい。その結果、顧客単位の取引全体、案件別の売上・原価・粗利、技術者の稼働・空き予定、契約更新、プロジェクトの採算、問い合わせ履歴を横断的に把握しにくくなる。

したがって、IT企業向けのVtigerCRMは、単なる営業管理ツールではなく、「顧客」「担当者」「商談」「技術者」「アサイン」「契約」「プロジェクト」「変更要求」「サービス契約」「問い合わせ」「見積・受注・請求予定」を顧客起点で結び付ける業務管理CRMとして設計する。

本設計では、既存の会計、勤怠、工数、ソースコード管理、課題管理、グループウェア等を直ちに置き換えない。初期は顧客・担当者・商談・活動履歴の共通基盤を優先し、その後、技術者派遣・SES管理、請負開発のプロジェクト・採算管理、自社サービスの契約更新・サポート管理へ段階的に拡張する。

OSS版VtigerCRMはCRM本体のユーザー数課金がない構成を取りやすいため、営業部門だけでなく、PM、技術責任者、サポート、事務・経理、経営層まで利用範囲を広げやすい。一方で、サーバー、拡張機能、保守・運用支援、外部連携には別途費用が発生するため、対象業務と費用対効果を段階ごとに確認する。

IT企業向けのVtigerCRMは、次の4点を中心に設計する。

  • 顧客企業を1つのマスタに集約し、技術者派遣・SES、請負開発、自社サービスの取引を横断管理する
  • 営業案件から技術者アサイン、開発プロジェクト、サービス契約、サポートまでを関連付け、部門間の引継ぎを標準化する
  • 売上見込みだけでなく、原価、粗利、稼働率、契約更新、プロジェクト採算、解約リスクを可視化する
  • 日報ではなく、活動履歴と次回アクションを中心に運用し、入力負荷を抑えながら情報共有を定着させる

2. IT企業の業務特性を踏まえたCRM設計上の論点

2.1 同一顧客に複数事業が関係するため、顧客マスタの統合が重要

IT企業では、1社の顧客に対して、最初は技術者派遣、次に業務システムの請負開発、その後に保守・運用、自社サービスの追加導入という形で取引が拡大することがある。事業別に顧客台帳を分けると、同じ顧客が重複登録され、営業・技術・サポートが別々の情報を持つ状態になりやすい。

  • 顧客:見込顧客、既存顧客、重要顧客、休眠顧客、協力会社、販売パートナー等
  • 担当者:決裁者、情報システム責任者、現場責任者、購買・契約担当、請求担当、運用担当等
  • 取引:技術者派遣・SES、準委任、請負開発、導入支援、保守、自社サービス、ライセンス・サブスクリプション等
  • 接点:営業商談、技術打合せ、定例会、障害対応、契約更新、追加提案、請求確認等

2.2 技術者派遣・SESでは、案件・技術者・契約・稼働・粗利の分離が必要

技術者派遣・SES型ビジネスでは、顧客案件だけを商談として管理しても、候補者、スキルシート、面談、契約期間、精算幅、月次稼働、原価、粗利、更新判断まで把握できない。商談、技術者、アサイン、契約、月次稼働・請求を分け、相互に関連付ける設計が必要である。

  • 顧客案件には、必要スキル、開始時期、契約期間、単価レンジ、勤務形態、募集人数を登録する
  • 技術者には、スキル、経験年数、保有資格、希望条件、原価、稼働可能日、スキルシートを登録する
  • アサインには、顧客単価、技術者原価、精算幅、契約期間、更新予定、粗利額・粗利率を登録する
  • 労働者派遣に該当する場合の法定帳票や勤怠原本は専用システム・文書管理を正とし、CRMでは契約期限、関連文書、対応状況を管理する

2.3 請負開発では、受注後の範囲・変更要求・検収・採算管理が重要

請負開発や準委任開発では、営業段階の見積と受注後の実作業が分断すると、追加要望の無償対応、工数超過、納期遅延、検収漏れが発生しやすい。商談からプロジェクトを生成し、フェーズ、タスク、成果物、課題、変更要求、追加見積、検収、請求予定まで連続して管理する。

  • 契約形態、責任範囲、成果物、検収条件、予定工数、外注費を受注前に明確化する
  • 仕様変更・追加要望は通常タスクに埋め込まず、変更要求として受付・影響分析・顧客承認・追加見積を管理する
  • 予定工数と実績工数の差、未解決課題、納期接近、検収予定をダッシュボードで可視化する
  • 納品・検収後に、保守契約、自社サービス、追加開発へ引き継ぐ

2.4 自社サービスでは、導入後の継続利用・更新・サポート管理が重要

自社ソリューションやSaaS型サービスは、受注で終わらず、初期設定、データ移行、オンボーディング、問い合わせ、障害、要望、利用状況、契約更新、アップセル、解約リスクを継続的に管理する必要がある。営業、導入支援、サポート、カスタマーサクセスの履歴を同じ顧客・サービス契約に紐づける。

  • Web問い合わせ、デモ、トライアル、PoC、見積、受注、導入プロジェクトを一連の履歴として管理する
  • 契約プラン、利用ID数、月額・年額、契約期間、更新種別、更新日を管理する
  • 問い合わせ・障害・要望を区分し、SLA、影響範囲、開発対応、FAQ化候補を管理する
  • 問い合わせ件数、低利用、未解決課題、顧客満足度から更新・解約リスクと追加提案候補を把握する

2.5 VtigerCRM活用のポイント

  • 既存のExcel・スプレッドシートを棚卸しし、顧客・担当者・商談・技術者・契約へ段階移行できる
  • 商談種別によって、派遣・SES、請負開発、自社サービスの入力項目・ワークフローを分岐できる
  • 活動履歴を顧客・商談・契約・プロジェクト・問い合わせへ紐づけ、営業から技術・サポートへの引継ぎを標準化できる
  • OSS版のため、全社員利用を前提とした権限設計と段階展開を行いやすい

3. CRM導入の目的

3.1 経営層・事業責任者向けの目的

  • 派遣・SES、請負開発、自社サービス別の売上見込み、粗利、継続売上を横断的に把握する
  • 顧客別・案件別・事業別の収益性と、技術者の稼働率・待機・契約終了予定を確認する
  • 請負案件の遅延・工数超過・赤字懸念、自社サービスの更新・解約リスクを早期に把握する
  • Excel集計から、日次・週次で更新されるダッシュボード中心の経営管理へ移行する

3.2 営業担当者向けの目的

  • 訪問・オンライン商談前に、顧客の契約、過去案件、問い合わせ、キーパーソン、次回予定を確認する
  • 派遣・SES、請負開発、自社サービスの商談を共通ステージで管理し、提案漏れ・追客漏れを防ぐ
  • 候補技術者、見積、提案資料、契約状況、受注後の進捗を顧客・商談から確認できる
  • 日報ではなく、活動要旨と次回アクションを登録することで、自分の案件整理にも役立てる

3.3 PM・技術責任者向けの目的

  • 受注前の顧客要望、前提条件、見積根拠を引き継ぎ、プロジェクト開始時の認識差を減らす
  • フェーズ、タスク、課題、変更要求、成果物、検収予定を案件単位で管理する
  • 予定工数・実績工数・外注費から採算悪化の兆候を把握する
  • 技術者のスキル・稼働状況・アサイン履歴を確認し、要員配置と提案を効率化する

3.4 サポート・カスタマーサクセス向けの目的

  • 顧客・サービス契約・導入プロジェクト・問い合わせを関連付け、契約内容を踏まえて対応する
  • 障害、操作質問、要望、契約・請求問い合わせを区分し、期限・優先度・エスカレーションを標準化する
  • 同種問い合わせをFAQ化し、一次回答の品質と速度を高める
  • 更新予定、低利用、問い合わせ多発、未解決課題から解約リスクとアップセル候補を抽出する

3.5 情報システム・管理・経理部門向けの目的

  • 顧客、契約、価格、技術者、個人情報、プロジェクト情報の閲覧・編集権限を整理する
  • 会計、勤怠、工数、請求、グループウェア、プロジェクト管理との役割分担を明確にする
  • 見積・受注・請求予定の基礎データを標準化し、転記と締め処理の負荷を減らす
  • 標準機能と設定中心で開始し、運用定着後に必要なカスタムモジュール・連携を追加する

4. VtigerCRMの全体構成

4.1 標準モジュールを活用する領域

領域VtigerCRMモジュール主な用途
顧客管理取引先 / Accounts見込顧客、既存顧客、協力会社、販売パートナー、派遣先、開発委託元、サービス契約先を一元管理
担当者管理担当者 / Contacts決裁者、情報システム責任者、現場責任者、契約・請求担当、運用担当を管理
見込客管理リード / LeadsWeb問い合わせ、紹介、展示会、代理店紹介、資料請求、採用・協業相談を一次管理
商談管理商談 / Potentials派遣・SES案件、請負・準委任開発、自社サービス導入、保守・追加提案を管理
活動管理カレンダー・活動 / Calendar, Events, Tasks電話、メール、訪問、オンライン商談、技術打合せ、定例会、更新確認を記録
見積管理見積 / Quotes技術者単価、開発費、初期費用、月額・年額利用料、保守費、追加費用を管理
受注管理受注 / Sales Orders契約確定後の受注内容、契約開始、請求条件を管理
請求管理請求 / Invoices初期費用、月額費用、開発費、保守費、派遣・SES費用の請求予定・実績を管理
プロジェクト管理プロジェクト・タスク / Projects, Project Tasks請負開発、導入支援、移行、カスタマイズ、保守作業の工程・担当・期限を管理
問い合わせ管理チケット / HelpDesk操作質問、障害、要望、契約、請求、データ移行等の問い合わせを管理
ナレッジ管理FAQよくある質問、一次回答、障害回避策、社内手順を蓄積
文書管理ドキュメント / Documents提案書、見積書、契約書、スキルシート、仕様書、議事録、検収書を関連付け
商品・サービス管理商品・サービス / Products, Services技術サービス、開発メニュー、自社ソリューション、保守サービスをマスタ化
営業施策管理キャンペーン / Campaignsセミナー、ウェビナー、メール配信、紹介施策、展示会の成果を管理

4.2 カスタムモジュールとして追加を検討すべき領域

カスタムモジュール目的
技術者管理社員・契約社員・個人事業主・協力会社技術者のスキル、経験、単価原価、稼働状況、スキルシートを管理
技術者アサイン管理顧客・商談・技術者・契約期間・顧客単価・原価・精算幅・粗利・更新予定を管理
契約管理派遣、準委任、請負、保守、サブスクリプション等の契約条件、期間、更新、関連文書を管理
変更要求管理請負開発・導入プロジェクトの追加要望、仕様変更、影響範囲、追加工数・費用、承認状況を管理
サービス契約管理自社サービスのプラン、利用ID数、MRR・ARR、利用期間、更新、利用状況、解約リスクを管理
月次稼働・請求管理派遣・SESの稼働時間、控除・超過、請求金額、原価、粗利、請求確認状況を月次で管理
導入資産・環境管理顧客環境、導入製品、バージョン、契約オプション、サーバー、窓口、保守範囲を管理
協力会社・パートナー管理BP企業、外注先、販売代理店の契約状況、得意領域、技術者、評価、取引条件を管理

ポイント:初期段階では、取引先・担当者・商談・活動履歴を優先する。技術者、アサイン、契約、変更要求、サービス契約は、対象事業の優先順位と既存システムの有無を確認して段階的に追加する。

5. 主要モジュール別の設計

5.1 取引先モジュール / Accounts

目的

見込顧客、既存顧客、派遣先、開発委託元、自社サービス契約先、協力会社、販売パートナー等を一元管理する。事業別に顧客を分けず、顧客企業を起点に商談、契約、プロジェクト、問い合わせ、売上・粗利を横断的に参照できる設計とする。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
取引先名標準テキスト法人・団体の正式名称を管理 
取引先種別ピックリスト顧客・関係先の分類に利用見込顧客/既存顧客/重要顧客/休眠顧客/協力会社/販売パートナー/その他
取引事業複数選択ピックリスト現在または見込みの取引領域を管理技術者派遣・SES/請負開発/準委任開発/自社サービス/保守・運用/複数
業種ピックリスト業界別の提案・集計に利用製造/流通・小売/金融/医療/建設/自治体・公共/IT/その他
従業員規模ピックリスト提案規模・顧客分析に利用1〜19名/20〜49名/50〜99名/100〜299名/300名以上/不明
情報システム部門ピックリスト意思決定・提案体制の把握に利用あり/なし/兼務/外部委託/不明
主要課題複数選択ピックリスト顧客課題と提案テーマを管理人材不足/老朽化/業務効率化/クラウド移行/セキュリティ/内製化/データ活用/AI活用/その他
顧客ステータスピックリスト現在の関係性を管理見込/商談中/取引中/更新予定/休眠/取引停止/要確認
顧客ランクピックリスト重点フォローや経営レポートに利用A:重点/B:通常/C:育成/休眠候補/要確認
主担当者ユーザー参照社内の営業責任者を指定 
技術・PM担当ユーザー参照主要な技術責任者・PMを指定 
年間売上通貨顧客別売上の参考値を管理 
粗利率パーセント顧客別収益性の分析に利用 
契約中サービス複数選択または関連現在の契約・サービスを把握派遣・SES/開発/保守/自社サービス/その他
最終接触日日付活動登録時に自動更新し、放置防止に利用 
次回接触予定日日付提案、更新確認、定例会等の次回予定を管理 
機密区分ピックリスト閲覧権限の基準に利用通常/契約情報含む/価格・原価含む/個人情報含む/役員限定

ポイント:取引先は3事業共通の基礎データである。事業別に別レコードを作らず、取引事業と関連レコードで取引の広がりを表現する。

5.2 担当者モジュール / Contacts

目的

顧客企業の決裁者、情報システム責任者、現場責任者、プロジェクト責任者、購買・契約担当、請求担当、運用担当等を管理する。役割、影響度、担当領域、関係する商談・契約を明確にし、担当変更時も過去の接点を引き継げる状態にする。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
氏名標準テキスト担当者の氏名を管理 
所属会社取引先参照所属する取引先に紐づける 
部署テキスト情報システム、事業部、購買、経理、運用等を管理 
役職テキスト役員、部長、課長、担当者等を管理 
役割ピックリスト商談・契約・プロジェクト上の役割を管理決裁者/推進者/現場責任者/技術責任者/契約担当/請求担当/運用担当/その他
キーパーソン区分ピックリスト意思決定への影響度を管理決裁者/推進者/評価者/利用部門/反対者/通常窓口
電話番号標準電話会社電話番号を管理 
携帯番号標準電話直接連絡用の番号を管理 
メールアドレス標準メール資料送付、通知、メール連携に利用 
希望連絡方法ピックリスト相手が希望する連絡手段を記録電話/メール/訪問/オンライン会議/チャット/その他
関係事業複数選択ピックリスト関係する事業・提案領域を管理派遣・SES/請負開発/自社サービス/保守/契約・請求
商談影響度ピックリスト案件判断への影響度を管理高/中/低/不明
異動・退職確認日日付担当者情報の鮮度管理に利用 
関係性メモ複数行テキスト過去経緯、関心、注意事項を記録 
個人情報取扱区分ピックリスト個人情報の管理区分に利用通常/要注意/削除依頼あり/連絡停止

ポイント:担当者を商談・契約・プロジェクト・問い合わせに紐づけることで、営業だけでなく技術・サポートも適切な相手と過去経緯を確認できる。

5.3 リードモジュール / Leads

目的

Web問い合わせ、資料請求、紹介、展示会・ウェビナー、パートナー紹介、名刺交換等から得た未整理の見込情報を一時的に受け止める。初回対応期限を明確にし、適格性を確認した上で取引先・担当者・商談へ変換する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
リード名標準テキスト問い合わせ者・見込担当者名を管理 
会社名標準テキスト法人・団体名を管理 
流入経路ピックリスト施策別の成果測定に利用Web/電話/紹介/展示会/ウェビナー/パートナー/名刺/既存顧客/その他
相談区分ピックリスト担当者割当と商談種別判断に利用技術者派遣・SES/請負開発/準委任開発/自社サービス/保守・運用/協業/その他
相談内容複数行テキスト問い合わせ本文、要望、背景を記録 
必要スキル・技術領域複数選択またはテキスト派遣・開発相談の技術要件を記録Web/業務系/クラウド/インフラ/セキュリティ/AI/データ/その他
予算感通貨またはピックリスト提案規模を把握未確認/100万円未満/100〜500万円/500〜1,000万円/1,000万円以上
希望開始時期日付またはピックリスト提案・要員調整の基準に利用至急/1か月以内/3か月以内/6か月以内/未定
緊急度ピックリスト初回対応優先度に利用高/中/低
担当部門ピックリスト相談内容に応じた割当先を管理営業/SES営業/開発営業/自社サービス/技術/サポート/その他
初回対応期限日付登録時に自動設定し、対応漏れを防止登録日から1営業日以内
リードステータスピックリスト未対応から商談化までの状態を管理未対応/対応中/日程調整中/要件確認中/商談化/保留/対象外/重複
対象外理由ピックリスト対象外・失注要因を蓄積領域外/予算不一致/要員不足/時期未定/競合決定/連絡不通/重複/その他
次回アクションテキスト次に行う連絡・資料送付・日程調整を記録 

ポイント:リードは長期保管場所ではない。初回対応後に商談化するか、対象外理由と再接触時期を明確にする。

5.4 商談モジュール / Potentials

目的

派遣・SES案件、請負・準委任開発、自社サービス導入、保守・追加提案を管理する中核モジュールである。共通の営業ステージを使用しつつ、案件種別に応じて必要スキル、開発条件、サービスプラン等の項目を切り替える。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
商談名標準テキスト案件を識別する名称を管理例:A社 Java技術者2名提案/B社 基幹刷新開発/C社 自社サービス導入
取引先取引先参照商談相手となる顧客を紐づける 
顧客担当者担当者参照窓口・決裁者・技術責任者を紐づける 
主担当者ユーザー参照社内の営業責任者を指定 
案件種別ピックリスト業務フローと必須項目を分岐技術者派遣・SES/請負開発/準委任開発/自社サービス/保守・追加開発/その他
商談ステージピックリスト営業進捗を管理初回接点/ヒアリング/提案準備/提案済/条件調整/契約準備/受注/失注/保留
提案内容複数行テキスト技術者、開発、サービスの提案概要を記録 
必要スキル・技術領域複数選択派遣・開発案件の技術要件を管理Java/PHP/Python/AWS/Azure/Linux/ネットワーク/セキュリティ/AI/その他
契約形態ピックリスト契約条件・管理方法の基礎に利用派遣/準委任/請負/業務委託/月額利用/年額利用/保守/その他
想定売上通貨初期・開発・月額等の売上見込みを管理 
想定原価通貨人件費・外注費・仕入等の見込原価を管理 
想定粗利通貨または計算想定売上-想定原価で算出 
粗利率パーセントまたは計算案件の採算判断に利用 
受注確度パーセント売上予測に利用10%/30%/50%/70%/90%
受注予定日日付月次・四半期予測に利用 
開始予定日日付稼働、開発、サービス開始予定を管理 
決裁者担当者参照顧客側の最終意思決定者を管理 
競合テキスト他社ベンダー、内製、既存取引先等を記録 
次回アクションテキスト次に実施する対応を記録 
次回アクション日日付放置防止用の期限を設定 
失注理由ピックリスト失注要因の分析に利用価格/時期/機能不足/要員不足/競合/内製化/連絡不通/その他

ポイント:商談は3事業共通のパイプラインとして管理する。案件種別ごとの詳細は、技術者アサイン、プロジェクト、サービス契約へ受注後に引き継ぐ。

5.5 技術者管理モジュール / Custom Module

目的

社員、契約社員、個人事業主、協力会社技術者のスキル、経験、原価、希望条件、稼働状況、提案履歴を管理する。人事評価や給与の基幹情報を置き換えるのではなく、営業提案・要員配置・契約更新に必要な範囲をCRMで共有する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
技術者名標準テキスト技術者の氏名または識別名を管理 
技術者区分ピックリスト雇用・契約上の区分を管理社員/契約社員/個人事業主/協力会社技術者/その他
所属会社取引先参照自社または協力会社を紐づける 
職種ピックリスト主な役割を分類PM/PL/SE/PG/インフラ/クラウド/セキュリティ/データ・AI/QA/その他
スキルカテゴリ複数選択技術領域の大分類を管理Web/業務系/基幹/クラウド/インフラ/ネットワーク/セキュリティ/AI・データ/その他
保有スキル複数選択またはテキスト言語、製品、クラウド等を管理Java/PHP/Python/C#/AWS/Azure/GCP/Linux/SQL/その他
経験年数数値総経験年数を管理 
主要スキル経験複数行テキスト主要スキル別の経験・案件を記録 
保有資格複数行テキストクラウド、情報処理、安全衛生等の資格を記録 
単価原価通貨月額原価・協力会社単価を管理 
提案単価通貨顧客向け想定単価を管理 
稼働状況ピックリスト現在の稼働・提案状態を管理稼働中/空き予定/待機中/提案中/休職/退職/取引終了
稼働可能日日付次にアサイン可能な日を管理 
希望勤務形態ピックリスト勤務条件を管理常駐/リモート/ハイブリッド/いずれも可
希望勤務地テキスト勤務地・通勤範囲を記録 
スキルシートドキュメント参照最新版のスキルシートを紐づける 
提案可否ピックリスト現在の提案可否を管理提案可/社内確認必要/提案不可
個人情報区分ピックリスト閲覧制御の基準に利用通常/機微情報含む/管理者限定

ポイント:技術者情報は個人情報・原価情報を含む。営業が参照できるスキル・提案情報と、管理者限定の契約・原価情報を権限で分離する。

5.6 技術者アサイン管理モジュール / Custom Module

目的

どの技術者が、どの顧客・商談・契約に、いつからいつまで、どの条件で参画しているかを管理する。契約更新、交代、増員、待機防止、月次請求、粗利管理の基礎データとする。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
アサイン名標準テキスト顧客・案件・技術者を識別する名称 
顧客企業取引先参照派遣先・常駐先・委託元を紐づける 
関連商談商談参照元となる営業案件を紐づける 
技術者技術者参照アサイン対象者を紐づける 
契約形態ピックリスト契約区分を管理派遣/準委任/業務委託/請負内要員/その他
開始日日付契約・稼働開始日を管理 
終了日日付契約・稼働終了予定日を管理 
更新確認日日付延長判断の予定日を管理終了60日前等
顧客単価通貨月額・時間等の請求単価を管理 
技術者原価通貨月額原価・協力会社単価を管理 
粗利額計算顧客単価-技術者原価で算出 
粗利率計算粗利額÷顧客単価で算出 
精算幅テキスト月次の基準時間を管理140〜180時間等
超過単価通貨超過精算の単価を管理 
控除単価通貨控除精算の単価を管理 
勤務形態ピックリスト参画形態を管理常駐/リモート/ハイブリッド
契約ステータスピックリスト提案から終了までの状態を管理候補/提案中/面談中/契約準備中/稼働中/更新確認中/終了予定/終了
月次報告状況ピックリスト勤怠・稼働報告の回収状況を管理未回収/回収済/確認中/承認済
評価・注意事項複数行テキスト顧客評価、交代要否、契約上の注意を記録 

ポイント:アサインは営業、技術、管理部門の共通情報である。終了60日前・30日前の更新確認と、終了後の空き予定への切替を自動化する。

5.7 契約管理モジュール / Custom Module

目的

派遣、準委任、請負、保守、サブスクリプション等の契約を共通形式で管理する。契約書そのものはドキュメントに保存し、CRMでは契約種別、期間、更新、金額、請求条件、関連商談・プロジェクト・サービス契約を索引化する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
契約番号自動採番契約を一意に識別する番号 
契約名標準テキスト顧客・案件・契約内容を識別 
契約企業取引先参照契約相手を紐づける 
契約種別ピックリスト契約の分類と必須項目を分岐派遣基本/派遣個別/準委任/請負/保守/サブスクリプション/秘密保持/その他
関連商談商談参照契約の元となる商談を紐づける 
関連プロジェクトプロジェクト参照開発・導入案件を紐づける 
契約開始日日付契約開始日を管理 
契約終了日日付契約終了・更新期限を管理 
更新種別ピックリスト更新方法を管理自動更新/都度更新/更新なし/未確認
更新確認日日付更新活動を開始する日を管理90日前/60日前等
契約金額通貨契約総額または基準金額を管理 
請求条件ピックリスト請求タイミングを管理月末締翌月/検収後/前払い/年額一括/その他
契約ステータスピックリスト契約の状態を管理作成中/社内承認中/顧客確認中/締結済/更新確認中/終了/解約
責任者ユーザー参照社内の契約責任者を指定 
契約書ドキュメント参照締結済み契約書・覚書を紐づける 
原本保管場所テキスト電子契約・共有フォルダ等の保管先を記録 
注意事項複数行テキスト解約予告、再委託、成果物、SLA等の注意を記録 

ポイント:契約管理は法務・会計の基幹台帳を必ずしも置き換えない。CRMでは営業・技術・サポートが確認すべき期限と関連情報を共有する。

5.8 プロジェクト・タスクモジュール / Projects・Project Tasks

目的

請負開発、準委任開発、導入支援、データ移行、カスタマイズ、保守作業を管理する。受注商談からプロジェクトを作成し、フェーズ、担当、期限、成果物、課題、予定工数、実績工数、検収を追跡する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
プロジェクト名標準テキスト開発・導入案件名を管理 
顧客企業取引先参照委託元・利用企業を紐づける 
元商談商談参照受注元の営業案件を紐づける 
関連契約契約参照請負・準委任・導入契約を紐づける 
プロジェクト種別ピックリスト作業内容を分類新規開発/改修/リプレイス/クラウド移行/導入支援/データ移行/保守開発/その他
契約形態ピックリスト進捗・検収管理の前提を記録請負/準委任/アジャイル/ラボ型/その他
フェーズピックリスト現在の工程を管理要件定義/設計/開発/テスト/移行/納品/検収/保守
開始日日付プロジェクト開始日を管理 
終了予定日日付完了・納品予定日を管理 
PMユーザー参照社内責任者を指定 
顧客責任者担当者参照顧客側の確認・承認責任者を管理 
進捗率パーセント工程全体の進捗を管理 
予定工数数値見積・計画工数を管理人月/時間
実績工数数値または外部連携実績工数を集計 
未解決課題数数値または集計遅延・品質リスクの把握に利用 
変更要求数数値または集計追加要望・仕様変更を把握 
検収予定日日付検収・請求タスクの基準に利用 
採算状況ピックリストまたは計算予定・実績工数から採算を判定黒字/注意/赤字懸念/要確認

ポイント:大規模な工程・工数管理は既存のプロジェクト管理ツールを正とし、VtigerCRMには顧客・契約・採算・主要マイルストーンを集約する構成も有効である。

5.9 変更要求管理モジュール / Custom Module

目的

請負開発・導入プロジェクトにおける追加要望、仕様変更、前提条件の変更を通常タスクと分けて管理する。影響分析、追加工数、費用、納期、顧客承認、追加見積・受注を記録し、無償対応や認識相違を防ぐ。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
変更要求番号自動採番変更要求を一意に識別 
変更要求名標準テキスト追加機能・仕様変更の名称を管理 
関連プロジェクトプロジェクト参照対象プロジェクトに紐づける 
要求元担当者参照顧客側の依頼者を管理 
受付日日付要望を受け付けた日を管理 
要求内容複数行テキスト要望・背景・期待結果を記録 
影響範囲複数選択ピックリスト影響分析の対象を管理仕様/費用/納期/品質/運用/保守/契約
追加工数数値見積工数を管理 
追加費用通貨追加請求額を管理 
納期影響テキストまたは日付納期変更・影響日数を記録 
ステータスピックリスト受付から完了までを管理受付/調査中/見積中/社内承認待ち/顧客承認待ち/対応中/完了/却下
顧客承認ピックリスト対応開始の承認状態を管理未依頼/確認中/承認済/却下
関連見積見積参照追加見積に紐づける 
対応結果複数行テキスト実施内容・完了条件を記録 

ポイント:変更要求は、顧客承認と追加見積の要否を明確にする。軽微な修正との境界を運用ルールとして定義する。

5.10 サービス契約管理モジュール / Custom Module

目的

自社ソリューション、SaaS、保守・運用サービスの契約内容と継続利用状況を管理する。プラン、ID数、MRR・ARR、更新日、利用状況、顧客満足度、解約リスク、次回提案を顧客単位で把握する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
サービス契約番号自動採番契約を一意に識別 
サービス名商品・サービス参照自社ソリューション・保守サービスを紐づける 
契約企業取引先参照利用企業を紐づける 
関連商談商談参照受注元の商談を紐づける 
契約プランピックリスト料金・機能プランを管理Free/Basic/Standard/Enterprise/個別契約
契約形態ピックリスト課金形態を管理月額/年額/従量課金/保守込み/買切り+保守
初期費用通貨導入・設定・移行費を管理 
月額費用通貨MRRとして利用 
年額費用通貨ARRとして利用 
利用ID数数値契約ユーザー数を管理 
契約開始日日付サービス開始日を管理 
契約終了日日付更新期限を管理 
更新種別ピックリスト更新方法を管理自動更新/都度更新/更新なし/未確認
利用状況ピックリスト利用・継続状況を管理導入中/利用中/低利用/停止中/解約予定
顧客満足度ピックリスト定例・アンケート等の評価を管理高/中/低/未確認
解約リスクピックリスト更新リスクを管理低/中/高/要確認
次回提案複数選択またはテキストアップセル・クロスセル候補を管理上位プラン/追加ID/オプション/保守拡張/追加開発

ポイント:受注後にサービス契約と導入プロジェクトを作成し、問い合わせ・更新・追加提案を同じ契約へ紐づける。

5.11 チケット・FAQモジュール / HelpDesk・FAQ

目的

自社サービス、保守契約、開発案件に関する操作質問、障害、要望、契約、請求等の問い合わせを管理する。重要度、影響範囲、SLA、担当部門、顧客回答、開発対応、FAQ化を標準化する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
チケット番号自動採番問い合わせ・障害を一意に識別 
取引先取引先参照問い合わせ元の顧客を紐づける 
関連担当者担当者参照問い合わせ窓口を紐づける 
関連サービス契約サービス契約参照対象サービス・保守契約を紐づける 
関連プロジェクトプロジェクト参照導入・開発案件との関連を管理 
問い合わせ種別ピックリスト対応内容を分類操作質問/障害/要望/契約/請求/データ移行/セキュリティ/その他
重要度ピックリスト顧客・業務への影響度を管理低/中/高/緊急
影響範囲ピックリスト障害・問題の範囲を管理1ユーザー/部門/全社/複数顧客/サービス全体
受付日時日時問い合わせ受付日時を管理 
対応期限日時SLA・優先度に応じて設定 
担当部門ピックリスト対応先を管理サポート/開発/インフラ/営業/経理/管理/外部委託
ステータスピックリスト受付から完了までを管理新規/対応中/顧客確認待ち/開発対応中/外部回答待ち/完了/保留
一次回答複数行テキスト初動・回答内容を記録 
原因分類ピックリスト障害・クレームの分析に利用操作/設定/製品不具合/環境/データ/説明不足/外部要因/不明
FAQ化対象チェックボックスナレッジ化候補を管理はい/いいえ
要望化対象チェックボックス製品改善・開発要求候補を管理はい/いいえ
顧客報告状況ピックリスト顧客への報告状況を管理未報告/一次報告済/対応方針報告済/完了報告済/報告不要
完了日日付対応完了日を管理 

ポイント:問い合わせは営業商談と分けて管理し、顧客・契約・プロジェクトへ関連付ける。頻出問い合わせはFAQ化し、製品要望は変更要求・改善候補へ連携する。

5.12 活動モジュール / Calendar・Tasks・Events

目的

電話、メール、訪問、オンライン商談、技術者面談、技術打合せ、プロジェクト定例、サポート対応、契約更新確認を記録する。長文の日報ではなく、「何を確認したか」「次に何をするか」を簡潔に残す運用とする。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
活動種別ピックリスト活動内容を分類電話/メール/訪問/オンライン商談/技術者面談/技術打合せ/定例会/サポート/更新確認/その他
関連取引先取引先参照活動対象の顧客・協力会社を紐づける 
関連担当者担当者参照面談・連絡相手を紐づける 
関連商談商談参照営業案件に紐づける 
関連契約契約参照契約更新・条件確認に紐づける 
関連プロジェクトプロジェクト参照定例・課題確認に紐づける 
関連チケットチケット参照問い合わせ対応に紐づける 
実施日時日時活動の実施日時を管理 
対応者ユーザー参照社内担当者を管理 
活動要旨複数行テキスト会話・確認内容の要点を記録 
顧客課題・要望複数行テキスト要望、懸念、追加提案の種を記録 
次回アクションテキスト次に行う作業を記録 
次回期限日付次回対応の期限を管理 
フォロー結果ピックリスト活動結果を分類完了/要再連絡/資料送付済/日程調整中/商談化/保留/失注

ポイント:管理者は日報の文章量ではなく、活動件数、次回アクション未設定、期限超過、放置商談を確認する。

5.13 見積・受注・請求モジュール / Quotes・Sales Orders・Invoices

目的

技術者単価、開発費、導入費、月額・年額利用料、保守費、追加費用を管理する。商談・契約・プロジェクト・アサインと紐づけ、受注後の請求予定と会計連携用データを整備する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
見積番号自動採番見積を一意に識別 
関連商談商談参照元となる商談に紐づける 
関連取引先取引先参照顧客企業を紐づける 
見積区分ピックリスト見積の種類を分類技術者派遣・SES/請負開発/準委任/自社サービス/保守/追加開発/その他
契約形態ピックリスト価格・請求条件の前提を管理月額/時間単価/請負一式/年額/従量/その他
売上金額通貨顧客向け見積金額を管理 
見込原価通貨人件費・外注費・仕入を管理 
見込粗利計算売上金額-見込原価で算出 
粗利率計算見込粗利÷売上金額で算出 
有効期限日付見積期限を管理 
承認状況ピックリスト値引き・低粗利・重要案件の承認を管理未申請/申請中/承認済/差戻し/却下
提出日日付顧客への見積提出日を管理 
受注番号自動採番契約確定後の受注を識別 
請求条件ピックリスト請求タイミングを管理月次/前払い/検収後/分割/年額一括/その他
請求予定日日付請求漏れ防止に利用 
会計連携区分ピックリスト会計・請求システムへの連携状態を管理未連携/連携待ち/連携済/差戻し/対象外
PDFテンプレート選択見積書・注文確認書・請求書のレイアウトを選択SES用/開発用/サービス用/保守用

ポイント:VtigerCRMを会計の正本にするかは別途判断する。初期は見積・受注・請求予定を管理し、確定仕訳・入金消込は既存会計システムを正とする構成が現実的である。

5.14 ドキュメントモジュール / Documents

目的

提案書、見積書、契約書、スキルシート、RFP、要件定義書、仕様書、議事録、テスト結果、検収書、操作マニュアル、障害報告書等を顧客・商談・技術者・契約・プロジェクト・問い合わせに紐づける。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
文書名標準テキスト資料名・ファイル名を管理 
文書区分ピックリスト文書の種類を分類提案書/見積書/契約書/スキルシート/RFP/要件定義/仕様書/議事録/テスト/検収書/マニュアル/障害報告/その他
関連取引先取引先参照文書に関係する顧客・協力会社を紐づける 
関連商談商談参照営業案件に紐づける 
関連技術者技術者参照スキルシート等を紐づける 
関連契約契約参照契約書・覚書を紐づける 
関連プロジェクトプロジェクト参照仕様・議事録・検収書を紐づける 
版数テキスト文書のバージョンを管理v1.0/最終版/2026年版等
作成日・提出日日付作成・顧客提出日を管理 
有効期限日付見積・契約・資格資料の期限管理に利用 
公開範囲ピックリスト閲覧・共有範囲を管理社内のみ/関係者共有可/顧客共有可/管理部門限定/役員限定
機密区分ピックリスト機密性・個人情報の有無を管理通常/社外秘/契約情報/価格・原価情報/個人情報/ソース・技術情報
外部保管先URLURLSharePoint、Google Drive等の正本保管先を記録 

ポイント:大容量ファイルや版管理は既存のクラウドストレージを正とし、VtigerCRMには関連レコードと保管先URLを登録する方式も有効である。

6. 商談ステージ設計

ステージ内容次に進む条件
01 初回接点問い合わせ、紹介、既存顧客からの相談を受けた状態顧客、相談区分、担当者、次回アクションを登録
02 ヒアリング課題、予算、時期、体制、決裁者、技術要件を確認中主要要件と顧客の検討プロセスが確認できる
03 提案準備技術者選定、概算、提案書、デモ・PoCを準備中提案内容、金額、体制、スケジュールが整理される
04 提案済提案書、スキルシート、見積、デモ等を提示済顧客の評価・懸念・次回予定を登録
05 条件調整単価、納期、契約形態、体制、機能範囲を調整中合意条件と未決事項が整理される
06 契約準備契約書、発注書、個別契約、開始条件を準備中契約・発注・開始日が確定する
07 受注契約・発注が確定した状態案件種別に応じてアサイン、プロジェクト、サービス契約へ引継ぎ
08 失注競合、価格、要員不足、時期等により失注失注理由と再提案可否を登録
09 保留時期未定、予算待ち、顧客都合等で一時停止再フォロー予定日と保留理由を登録
10 長期フォロー次年度予算、契約終了、システム更改時期を待つ状態再接触日と提案テーマを設定

ポイント:3事業で案件の中身は異なっても、経営・営業管理のために共通ステージを使用する。受注後の管理先だけを案件種別で分岐する。

7. 主要ワークフロー設定例

① リード初回対応漏れ防止

項目内容
トリガーリード新規作成時
条件流入経路がWeb、電話、紹介、展示会、ウェビナー、パートナー、名刺等
処理相談区分に応じて担当部門へ通知し、初回対応タスクを自動作成
期限登録日から1営業日以内
目的初動遅れを防ぎ、見込顧客情報を埋もれさせない

② 商談ステージ変更時の次回タスク自動作成

項目内容
初回接点 → ヒアリング課題・予算・時期・決裁者・技術要件の確認タスクを作成
ヒアリング → 提案準備提案体制、概算、候補技術者、デモ・PoC準備タスクを作成
提案準備 → 提案済提案後フォローと顧客評価確認タスクを作成
条件調整 → 契約準備契約条件・開始条件・請求条件の確認タスクを作成
受注案件種別に応じてアサイン、プロジェクト、サービス契約の作成タスクを発行

③ 放置商談アラート

項目内容
トリガー日次バッチ
条件商談ステージが「提案済」「条件調整」「契約準備」で、最終活動日から14日以上経過
処理担当者へ通知し、さらに一定期間経過時は営業責任者へエスカレーション
目的提案後・条件調整後の追客漏れを防止

④ 技術者提案・アサイン更新管理

項目内容
トリガー案件種別が「技術者派遣・SES」、またはアサイン終了日接近
条件必要スキル、開始日、単価レンジが未入力/終了60日前・30日前
処理不足項目入力タスク、候補者選定タスク、契約更新確認タスクを自動作成
追加処理契約終了時に技術者の稼働状況を「空き予定」または「待機中」へ更新
目的提案スピード向上、契約更新漏れ、待機発生を防止

⑤ 低粗利・値引き承認ワークフロー

項目内容
トリガー見積または商談の金額・原価更新時
条件粗利率が社内基準未満、値引率が一定以上、重要顧客、長期固定単価等
処理営業責任者・事業責任者へ承認依頼を自動作成
承認後見積PDF出力、顧客提出、契約準備へ進行可能
目的案件採算と価格決定のガバナンスを標準化

⑥ 請負開発受注時のプロジェクト自動作成

項目内容
トリガー商談ステージ = 受注、案件種別 = 請負開発・準委任開発
処理元商談、顧客、契約、金額、納期、PMを引き継いでプロジェクトを作成
タスク要件定義、設計、開発、テスト、移行、納品、検収のタスクテンプレートを展開
通知PM、営業、管理部門へ開始準備タスクを通知
目的営業から開発への引継ぎ漏れと初動遅れを防止

⑦ プロジェクト遅延・変更要求アラート

項目内容
トリガー日次バッチまたは変更要求新規作成時
条件納期7日前で進捗80%未満/期限超過タスクあり/変更要求が未見積・未承認
処理PM・技術責任者へ通知し、変更要求は影響分析・追加見積タスクを作成
追加処理赤字懸念または納期影響が大きい場合は事業責任者へエスカレーション
目的納期遅延、無償追加対応、採算悪化の早期発見

⑧ 自社サービス契約更新・解約リスク通知

項目内容
トリガー契約終了日の90日前、60日前、30日前
条件サービス契約が利用中、低利用、または解約リスクが中・高
処理更新確認、利用状況確認、未解決問い合わせ確認、追加提案タスクを作成
追加処理30日前時点で未確認の場合は営業責任者・カスタマーサクセス責任者へ通知
目的更新漏れ、解約兆候の見逃し、アップセル機会の逸失を防止

⑨ 緊急問い合わせ・SLA期限通知

項目内容
トリガーチケット新規作成または期限接近時
条件重要度 = 緊急・高、影響範囲 = 全社・複数顧客・サービス全体
処理サポート、開発、管理者へ即時通知し、一次回答期限を設定
追加処理期限超過時は責任者へエスカレーションし、顧客報告状況を確認
目的重大障害の初動遅れと顧客報告漏れを防止

⑩ 受注・請求・会計連携用データ整備

項目内容
トリガー商談受注、検収完了、月次稼働確定、サービス更新時
条件売上、原価、部門、担当者、請求条件、請求予定日、会計連携区分が未入力
処理不足項目の入力タスクを作成し、管理・経理部門へ確認依頼
目的請求漏れ、転記ミス、月次締めの遅延を防止し、事業別KPIの精度を高める

8. 権限・共有設定の例

全社員利用を前提としつつ、技術者個人情報、原価、契約条件、顧客機密、ソース・技術情報、障害情報は必要な範囲に限定する。ロール、プロファイル、共有ルール、項目権限を組み合わせ、営業・技術・サポート・管理部門の役割に応じて閲覧・編集範囲を設計する。

ロール想定ユーザー主な権限
管理者情報システム部門、運用支援担当全権限。項目、ワークフロー、権限、連携、バックアップを管理
経営層・役員社長、役員、事業責任者全体ダッシュボード、売上・粗利、稼働率、採算、更新予定の閲覧中心
営業責任者営業部長、チームリーダー全顧客・全商談・見積・契約の閲覧、承認、レポート管理
営業担当営業メンバー自分・チームの顧客、商談、活動、見積、契約を編集。原価は必要範囲のみ
技術責任者開発部長、SES責任者技術者、アサイン、プロジェクト、工数・採算の閲覧・承認
PM・PLプロジェクト責任者担当プロジェクト、タスク、課題、変更要求、成果物を編集
一般技術者エンジニア、協力会社要員割当プロジェクト・タスク・必要文書のみ。顧客・原価情報は最小限
サポート・CSサポート、カスタマーサクセス問い合わせ、FAQ、サービス契約、更新・解約リスクを管理
管理・経理契約、請求、経理、事務見積、受注、契約、請求予定、会計連携用項目を管理
協力会社・外部利用者BP企業、外注先、顧客ポータル利用者指定案件・チケット・文書のみ。原則として社内データは非公開

ポイント:権限は「見せない」だけでなく、「編集させる範囲」「原価・個人情報を閲覧できる範囲」「外部共有できる文書」を明確にする。

9. ダッシュボード・レポート例

対象レポート・指標目的
経営層事業別売上予測・粗利予測派遣・SES、請負開発、自社サービス別の今月・四半期・年度見込みを把握
経営層顧客別・案件別収益性売上、原価、粗利率、継続売上を顧客・案件単位で確認
経営層技術者稼働率・待機予定稼働中、空き予定、待機、契約終了予定の人数を確認
経営層請負案件の採算状況黒字、注意、赤字懸念、工数超過の案件を把握
営業責任者商談パイプラインステージ別、担当者別、案件種別の件数・金額・確度を確認
営業責任者放置商談・次回アクション未設定最終活動14日以上、期限超過、次回予定未設定を抽出
SES責任者提案中技術者・面談状況候補者提出、面談、結果待ち、契約準備の状況を確認
SES責任者契約更新予定30日・60日・90日以内に終了するアサインと更新未確認を抽出
PM・技術責任者進行中プロジェクト・遅延フェーズ、進捗、期限超過、未解決課題、検収予定を確認
PM・技術責任者変更要求・追加見積未見積、承認待ち、対応中、費用・納期影響を確認
サポート・CS未対応・期限超過問い合わせ重要度、経過時間、影響範囲、担当部門別に確認
サポート・CS更新・解約リスク・アップセル候補低利用、問い合わせ多発、未解決課題、追加ID・上位プラン候補を確認
管理・経理請求予定・未連携一覧検収、月次稼働、更新に基づく請求予定と会計連携状態を確認
全社顧客360度ビュー顧客の商談、契約、プロジェクト、問い合わせ、活動、文書を一画面で確認

10. 初期導入時の現実的な最小構成

最初から3事業すべてを詳細に作り込むと、項目数と入力負荷が増え、定着が遅れる。初期は営業・顧客管理の共通基盤を構築し、優先事業に必要なカスタムモジュールを追加する。

優先度実装対象初期実装の考え方
取引先・担当者既存顧客・見込顧客・協力会社を整理し、重複を解消する
商談3事業共通のステージと案件種別、売上・原価・次回アクションを管理する
活動履歴電話、メール、商談、定例、次回アクションを簡潔に記録する
基本ダッシュボード商談パイプライン、放置案件、受注予定、活動期限を可視化する
高(SES優先時)技術者・アサインスキル、稼働、単価、契約期間、粗利、更新を管理する
契約管理契約種別、期間、更新、関連文書を索引化する
中(開発優先時)プロジェクト・変更要求受注後の主要工程、採算、変更要求、検収を管理する
中(自社サービス優先時)サービス契約・問い合わせ・FAQ継続売上、更新、サポート、解約リスクを管理する
見積・受注・請求予定会計連携前の営業・請求基礎データを標準化する
低〜中外部システム連携運用定着後にAPI、CSV、RPA、メール・カレンダー連携を追加する

ポイント:初期構築では「顧客情報と商談状況を探さなくて済む」「次に何をすべきか分かる」状態を最優先にする。

11. 既存システム・データ連携方針

11.1 Excel・Googleスプレッドシートの移行

  • 顧客台帳、案件台帳、技術者一覧、契約更新一覧、サービス契約一覧を棚卸しし、重複・表記揺れ・不要列を整理する
  • 取引先・担当者・商談を優先して移行し、技術者・アサイン・契約は優先事業から段階移行する
  • 移行元、旧ID、最終更新日を保持し、照合と差分移行ができるようにする
  • 移行後は、Excelを停止する範囲と、集計・一時作業として残す範囲を明確にする

11.2 メール・カレンダー・グループウェア・チャット

  • Microsoft 365またはGoogle Workspaceのメール・予定表について、必要に応じて活動履歴への紐づけや予定同期を検討する
  • Teams、Slack等のチャットは即時連絡を担い、顧客判断・契約・障害等の確定情報はCRMに要約して残す
  • 名刺管理を利用している場合は、取引先・担当者への重複確認と、商談・活動への接続ルールを定義する
  • 自動連携が難しい場合は、まずCSV取込・メール転送・定型入力で運用を標準化する

11.3 プロジェクト・開発・工数管理ツール

  • Backlog、Jira、Redmine等を利用している場合、詳細タスク・課題は既存ツールを正とし、VtigerCRMには主要マイルストーン、顧客、契約、採算、変更要求を保持する
  • GitHub等のソース管理は開発成果物を管理し、CRMにはリポジトリURL、リリース、顧客影響、契約・問い合わせとの関連を必要範囲で登録する
  • 工数管理は既存システムから集計値を連携する方式と、VtigerCRMのプロジェクトタスクへ直接入力する方式を比較する
  • 連携の優先順位は、二重入力削減、採算可視化、運用負荷、API・セキュリティ要件で決定する

11.4 勤怠・会計・請求システム

  • 勤怠・給与は専用システムを正とし、CRMには契約期間、精算幅、月次稼働・請求に必要な集計値を保持する
  • 会計・請求システムは確定売上、仕訳、入金消込を正とし、CRMは見積、受注、請求予定、部門、担当者、案件コードを整備する
  • 初期はCSV出力・取込、次段階でAPIまたはRPA連携を検討する
  • 連携エラー、差戻し、未連携をCRM上でステータス管理し、月次締め前に確認できるようにする

11.5 文書・クラウドストレージ

  • 大容量の仕様書、画像、バックアップ、ソース、動画等はSharePoint・OneDrive、Google Drive、Box等を正本保管先とする
  • VtigerCRMのドキュメントには、ファイルを直接保存するか、外部保管先URLと版数・公開範囲を登録する
  • 顧客・商談・契約・プロジェクト・問い合わせから関連文書へ到達できる索引構造を作る
  • 社外共有、個人情報、ソース・設計情報について、共有リンクの期限・権限・退職者対応を運用ルール化する

12. 導入スケジュール案

フェーズ目安主な作業成果物・完了条件
0. Fit確認・要件整理1〜2週間対象事業、現行台帳、入力者、KPI、既存システム、権限、移行量を確認初期対象、項目一覧、役割分担、移行・連携方針を合意
1. 営業・顧客管理基盤3〜5週間取引先、担当者、商談、活動、基本レポート、権限、データ移行を設定顧客・商談・次回アクションをCRMで管理開始
2. 優先事業の業務管理3〜6週間SESなら技術者・アサイン、開発ならプロジェクト・変更要求、サービスなら契約・問い合わせを構築優先事業の案件から受注後までを追跡可能
3. 見積・受注・請求予定2〜4週間見積テンプレート、承認、契約、請求予定、会計連携項目を整備請求漏れ防止と月次データ整備を運用開始
4. 定着化・改善1〜3か月入力状況確認、項目削減、ダッシュボード改善、運用教育、管理者移管日常運用が定着し、現場・管理者が自立運用できる
5. 外部連携・拡張個別メール、カレンダー、勤怠、会計、プロジェクト管理、ストレージとの連携費用対効果が確認できた連携から段階導入

ポイント:期間はユーザー数、既存データ量、カスタムモジュール数、承認・連携要件によって変動する。最初に1事業・1部門で試行し、運用を固めてから全社へ広げる方法が現実的である。

13. OSS版VtigerCRM採用の意義

IT企業では、営業、技術、サポート、管理部門が同じ顧客に関わるため、営業担当だけのCRMでは情報が完成しない。OSS版VtigerCRMを業務管理CRMとして設計し、必要な全社員が利用できる状態を作ることに意義がある。

  • 顧客を起点に、3事業の商談・契約・プロジェクト・問い合わせを1つの基盤で確認できる
  • ユーザー数増加に伴うCRM本体のライセンス費増を抑えやすく、営業以外の部門へ展開しやすい
  • 標準モジュール、項目、ワークフロー、権限、レポートを中心に、自社業務へ段階的に合わせられる
  • データを自社管理し、既存システムとのAPI・CSV・RPA連携を自社方針で検討できる
  • 一方で、サーバー運用、セキュリティ更新、バックアップ、障害対応、拡張機能の互換性確認を継続的に行う必要がある

最終的には、VtigerCRMを「案件入力のためのシステム」ではなく、顧客別の売上・粗利・技術者稼働・開発進捗・契約更新・サポート状況を確認し、次の行動を決めるための共通業務基盤として運用する。

14. より詳細化するために確認したい事項

確認テーマ主な確認事項
事業構成・優先順位技術者派遣・SES、請負・準委任開発、自社サービス、保守の売上構成と最初に改善したい事業
現行管理顧客、商談、技術者、契約、プロジェクト、問い合わせ、請求を管理しているExcel・システム
ユーザー・部門初期利用者、全社展開人数、営業・技術・サポート・管理部門の入力・閲覧範囲
営業プロセス案件流入、ヒアリング、提案、見積、契約、失注・保留、次回フォローの実態
SES業務技術者区分、スキルシート、候補者提案、面談、精算幅、更新、月次稼働、粗利管理
開発業務契約形態、工程、工数、課題、変更要求、成果物、検収、追加請求、保守移行
自社サービスプラン、ID数、MRR・ARR、導入支援、問い合わせ、更新、解約、アップセル管理
権限・機密情報個人情報、原価、契約条件、顧客機密、技術情報を誰が閲覧・編集するか
データ移行既存データ件数、重複、必須項目、過去履歴の移行範囲、添付ファイルの保管方法
外部連携メール、カレンダー、名刺、勤怠、工数、会計、請求、プロジェクト管理、ストレージとの連携要否
KPI・レポート経営・営業・技術・サポートが日次・週次・月次で確認したい指標
運用体制社内管理者、項目・ワークフロー変更の承認者、データ品質管理、教育・サポート体制

15. 参考情報

本資料の業務設計は、以下の公開情報および一般的なIT企業の業務プロセスを参考に作成した。実際の構築時には、対象企業の契約形態、既存システム、法務・会計・情報セキュリティ方針を確認し、項目・権限・ワークフローを調整する。

  • 株式会社アイプランナー「中小IT業向け OSS版VtigerCRM活用設計」 https://info.osscrmpro.com/archives/4433
  • IPA「情報システム・モデル取引・契約書」関連資料
  • 厚生労働省・都道府県労働局の労働者派遣事業関連資料(労働者派遣に該当する場合)
  • OSS版VtigerCRMの標準モジュール、ワークフロー、権限、レポート機能