目次

1. 設計の基本方針

本資料は、既存顧客への定期訪問・定期連絡を営業活動の中心とする中小・中堅商社を想定した、OSS版VtigerCRMの構築・導入設計案である。取り扱い品目は、工業用消耗品、部材、工具、設備、食品、建材、医療・衛生用品、オフィス用品等を幅広く想定するが、本設計では品目固有の業務よりも、担当顧客を継続的に訪問し、取引維持、追加提案、採用品目拡大、休眠防止を行う「ルート営業」の営業スタイルに焦点を当てる。

ルート営業では、顧客との接点が継続的に存在する一方、訪問予定、面談内容、見積状況、採用品目、競合状況、納期問題、次回対応が営業担当者個人の手帳、メール、Excel、記憶に分散しやすい。その結果、訪問件数は把握できても、重点顧客を適切にカバーできているか、未採用品目を提案できているか、受注減少の兆候を把握できているかを組織として確認しにくくなる。

したがって、ルート営業型商社向けのVtigerCRMは、販売管理・在庫管理・受発注・会計を置き換える基幹システムではなく、「顧客」「拠点」「担当者」「訪問ルート」「接触履歴」「採用品目」「案件」「見積」「価格・取引条件」「問い合わせ」「次回アクション」を顧客起点で結び付ける営業フロント基盤として設計する。売上実績だけでは分からない顧客関係の変化と、次に行うべき営業行動を可視化することが中心となる。

本設計では、既存の販売管理、受発注、在庫、物流、会計、商品マスタを直ちに置き換えない。初期は取引先・担当者・営業ルート・活動履歴・次回アクション・案件・見積履歴を共通基盤として整備し、その後、採用品目、価格改定、受注・納期情報、問い合わせ、設備・契約更新等を段階的に追加する。

OSS版VtigerCRMはCRM本体のユーザー数課金がない構成を取りやすいため、営業担当者だけでなく、営業事務、購買、物流、カスタマーサポート、管理部門、経営層まで利用範囲を広げやすい。一方で、サーバー、拡張機能、保守・運用支援、外部連携には別途費用が発生するため、対象業務と費用対効果を段階ごとに確認する。

ルート営業型商社向けのVtigerCRMは、次の4点を中心に設計する。

  • 顧客企業・拠点・部門・担当者・取引関係を整理し、担当変更時も顧客関係を引き継げるようにする
  • 訪問計画、活動履歴、次回アクションを連続させ、重点顧客の未訪問・対応漏れを防止する
  • 採用品目と未採用品目、見積・提案・失注理由を可視化し、既存顧客内の取引深耕を促進する
  • 日報のための入力ではなく、営業担当者自身の訪問準備、案件整理、引継ぎ、追加提案に役立つ運用とする

2. ルート営業型商社の業務特性を踏まえたCRM設計上の論点

2.1 顧客は会社単位だけでなく、拠点・部門・担当者単位で把握する

ルート営業では、同一企業内でも本社、工場、店舗、営業所、倉庫、事業部ごとに発注権限、使用商品、購買頻度、競合状況が異なる。会社名だけの顧客台帳では、実際の訪問先、発注窓口、利用部門、決裁者、納入先を識別できないため、取引先を起点に拠点・担当者・役割・取引関係を整理する必要がある。

  • 顧客:既存顧客、重点顧客、育成顧客、休眠顧客、見込顧客、仕入先、メーカー、協力会社等
  • 拠点:本社、工場、店舗、営業所、事業所、倉庫、現場、納入先等
  • 担当者:購買、現場責任者、利用部門、経営層、経理、品質・安全、店舗責任者等
  • 接点:定期訪問、電話、メール、注文確認、見積説明、新商品案内、納期調整、クレーム対応等

2.2 訪問件数ではなく、顧客カバレッジと次回アクションを管理する

ルート営業では活動量を訪問件数だけで評価すると、訪問しやすい顧客への偏りや、形式的な巡回が増える可能性がある。顧客ランク、推奨訪問周期、最終接触日、次回予定、訪問目的、対応結果を組み合わせ、重点顧客を適切な頻度でカバーできているかを管理する。

  • 顧客ランクごとに、週次、隔週、月次、四半期等の推奨訪問周期を設定する
  • 訪問計画には、単なる挨拶ではなく、見積確認、採用拡大、課題確認、価格改定等の目的を設定する
  • 訪問実績には、確認事項、顧客反応、競合情報、宿題、次回アクション、期限を簡潔に残す
  • 未訪問、次回予定未設定、期限超過、売上減少等をアラートし、優先順位付けに利用する

2.3 既存取引の維持と採用品目拡大を別々に可視化する

ルート営業の成果は、新規顧客獲得だけでなく、既存品の継続受注、取引減少の防止、未採用品目の提案、他部署・他拠点への横展開によって生まれる。顧客別に採用品目、購買頻度、最終受注、競合品、未採用理由を整理し、取引深耕の余地を可視化する。

  • 顧客・拠点ごとに、採用中、試用中、提案中、未採用、競合採用、対象外を管理する
  • 定番品・消耗品は発注周期や最終受注日を把握し、注文減少・途絶の兆候を確認する
  • 重点商品や新商品は、対象顧客リスト、提案状況、サンプル・デモ、見積、採否を追跡する
  • 失注・未採用理由を価格、仕様、納期、商流、競合関係、現状維持等に分類し、再提案時期を残す

2.4 見積・受注・納期・問い合わせは例外情報を優先して共有する

商社の基幹業務は販売管理や在庫管理に存在することが多い。CRMへ全明細を重複入力するのではなく、営業判断に必要な見積履歴、特別価格、納期回答、欠品・遅延、返品、クレーム、顧客要望を顧客・案件・商品に関連付け、対応期限と責任者を明確にする。

  • 見積は、商品、数量、価格、仕入先、納期、特別条件、承認状況、顧客回答期限を管理する
  • 受注・売上・在庫は販売管理を正とし、CRMには営業が確認すべき例外、次回提案、連携状態を保持する
  • 欠品、納期遅延、誤納、返品、品質問題は問い合わせとして登録し、営業・購買・物流で共有する
  • 価格改定は対象顧客・商品・現行価格・改定根拠・交渉期限・合意条件を履歴化する

2.5 取り扱い品目の差は「共通基盤+品目別拡張」で吸収する

  • 消耗品・定期補充品では、発注周期、使用量、在庫切れリスク、代替品、定期注文を追加管理する
  • 設備・耐久財では、納入設備、製造番号、保証、保守、更新時期、交換部品を追加管理する
  • 食品・医療・建材等では、賞味期限・ロット・法規・現場・納入条件等の品目固有項目を別モジュールで拡張する
  • 顧客、拠点、担当者、訪問、採用品目、案件、見積、次回アクションは、品目にかかわらず共通の営業基盤として運用する

3. CRM導入の目的

3.1 経営層・事業責任者向けの目的

  • 顧客別・担当者別・拠点別の売上傾向、粗利、活動状況、案件、採用品目を横断的に把握する
  • 重点顧客の訪問カバレッジ、長期未接触、取引減少、休眠化、価格改定の進捗を確認する
  • 訪問件数だけでなく、提案件数、採用拡大、見積受注率、再受注、失注理由から営業生産性を評価する
  • Excel集計から、日次・週次で更新されるダッシュボード中心の営業管理へ移行する

3.2 ルート営業担当者向けの目的

  • 訪問前に、前回対応、未完了タスク、見積、採用品目、受注傾向、問い合わせ、キーパーソンを確認する
  • 訪問予定と次回アクションを一つのカレンダーで管理し、手帳・個人Excelへの二重管理を減らす
  • 未採用品目、更新時期、注文減少、過去失注を確認し、訪問時の提案テーマを準備する
  • 長文の日報ではなく、活動要旨と次回対応を登録することで、自分の案件整理と引継ぎに役立てる

3.3 営業管理者・営業事務向けの目的

  • 担当者ごとの訪問計画、実績、未訪問顧客、期限超過、見積後未フォローを確認する
  • 担当変更・退職時に、顧客関係、重要人物、商談、価格条件、宿題を漏れなく引き継ぐ
  • 見積依頼、サンプル手配、資料送付、社内確認等の営業支援タスクを期限付きで共有する
  • 担当者の経験だけに依存せず、顧客ランクと営業機会に基づいてルートを見直す

3.4 購買・物流・カスタマーサポート向けの目的

  • 営業が受けた納期、欠品、代替品、返品、品質、配送条件等の要望を顧客・商品に紐づけて確認する
  • 問い合わせの重要度、回答期限、担当部門、顧客報告状況を標準化し、対応漏れを防ぐ
  • 仕入先回答、代替提案、分納、再手配等の対応経緯を残し、営業が顧客へ迅速に回答できるようにする
  • 同種問題の発生傾向を分析し、仕入先評価、物流改善、商品選定に活用する

3.5 管理・経理・情報システム部門向けの目的

  • 顧客、価格、粗利、取引条件、個人情報の閲覧・編集権限と更新責任を整理する
  • 販売管理、在庫管理、会計、グループウェア、名刺管理、ストレージとの役割分担を明確にする
  • 顧客コード、商品コード、担当者、案件、見積、受注連携状態を標準化し、二重入力と照合作業を減らす
  • 標準機能と設定中心で開始し、定着後に採用品目、設備台帳、価格改定、API連携等を追加する

4. VtigerCRMの全体構成

4.1 標準モジュールを活用する領域

領域VtigerCRMモジュール主な用途
顧客管理取引先 / Accounts既存顧客、重点顧客、休眠顧客、仕入先、メーカー、顧客企業を一元管理
担当者管理担当者 / Contacts購買、利用部門、経営層、経理、現場責任者等の役割と接点を管理
見込客管理リード / Leads紹介、Web、展示会、既存顧客からの新規拠点・新規部門情報を一次管理
案件管理商談 / Potentials採用拡大、新商品、競合切替、他拠点展開、価格改定、休眠復活を管理
活動管理カレンダー・活動 / Calendar, Events, Tasks訪問、電話、メール、次回アクション、期限、訪問目的を管理
見積管理見積 / Quotes商品、数量、価格、粗利、納期、特別条件、版数、承認、フォロー期限を管理
受注管理受注 / Sales Orders重要受注、納入先、回答納期、分納、欠品、基幹連携状態を管理
請求管理請求 / Invoices請求予定、支払条件、顧客コード、会計連携状態を必要範囲で管理
商品管理商品・サービス / Products, Services商品カテゴリ、メーカー、重点商品、代替品、商品コードを管理
問い合わせ管理チケット / HelpDesk納期、欠品、返品、品質、商品質問、請求確認等を期限付きで管理
タスク管理プロジェクト・タスク / Projects, Project Tasks重点顧客施策、他拠点展開、価格改定、休眠復活等の複数タスクを管理
ナレッジ管理FAQ商品回答、代替品、クレーム対応、顧客別注意事項、営業標準手順を蓄積
文書管理ドキュメント / Documents見積、カタログ、仕様、価格表、契約、議事録、写真を関連付け
営業施策管理キャンペーン / Campaigns新商品展開、重点商品提案、休眠顧客掘り起こしの対象と成果を管理

4.2 カスタムモジュールとして追加を検討すべき領域

カスタムモジュール目的
顧客拠点・店舗管理本社、工場、店舗、営業所、現場、納入先と訪問先・担当者・売上傾向を管理
営業ルート・訪問周期管理担当顧客、推奨訪問周期、訪問曜日、優先度、最終接触、次回予定を管理
採用品目・取引深耕管理顧客・拠点別の商品採用状況、競合、未採用理由、再提案時期を管理
価格・取引条件管理顧客別・商品別の特別価格、支払・送料・最低発注量、価格改定を管理
取引減少・休眠候補管理売上減少、最終受注、最終接触、再開可能性、復活施策を管理
納入設備・契約更新管理設備・耐久財・保守・レンタル等の納入、保証、更新、交換部品を管理
品目別拡張管理消耗品の発注周期、食品の期限・ロット、建材の現場、医療の規制等を追加
競合・切替提案管理競合メーカー・商品、採用理由、切替条件、評価時期、提案結果を管理

ポイント:初期段階では、取引先・担当者・活動履歴・訪問計画・次回アクション・案件・見積を優先する。採用品目、価格条件、受注・納期、設備・契約更新等は、取り扱い品目と既存システムを確認して段階的に追加する。

5. 主要モジュール別の設計

5.1 取引先モジュール / Accounts

目的

既存顧客、重点顧客、育成顧客、休眠顧客、見込顧客、仕入先、メーカー等を一元管理する。売上実績だけでなく、顧客ランク、推奨訪問周期、主要拠点、採用品目、価格改定、問い合わせ、最終接触、次回予定を顧客企業から横断的に参照できる設計とする。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
取引先名標準テキスト法人・団体の正式名称を管理 
顧客コードテキスト販売管理等との照合キーを管理 
取引先種別ピックリスト顧客・関係先の分類に利用見込顧客/既存顧客/重点顧客/休眠顧客/仕入先/メーカー/協力会社
業種・市場ピックリスト顧客業界と需要分野の分析に利用製造/建設/小売/医療/食品/物流/サービス/官公庁/その他
顧客ステータスピックリスト現在の取引関係を管理見込/取引中/育成中/取引減少/休眠候補/休眠/取引停止
顧客ランクピックリスト訪問周期と優先度の基準に利用S:最重点/A:重点/B:通常/C:育成/休眠候補
年間売上通貨顧客別取引規模の参考値を管理 
売上傾向ピックリスト取引変化の早期把握に利用増加/横ばい/減少/急減/新規/未集計
粗利水準ピックリストまたは率顧客別収益性の分析に利用高/標準/低/改善必要/未集計
主要商品カテゴリ複数選択主な採用品目分野を管理消耗品/部材/工具/設備/食品/建材/サービス/その他
取引形態ピックリスト商流と契約関係を管理直販/メーカー経由/代理店/共同受注/EC併用/その他
推奨訪問周期ピックリスト顧客ランクに応じた接触基準を設定毎週/隔週/月1回/2か月/四半期/随時
主担当者ユーザー参照社内の営業責任者を指定 
副担当者・営業事務ユーザー参照不在時の対応・支援担当を指定 
最終接触日日付活動登録時に自動更新し、放置防止に利用 
次回接触予定日日付次回訪問・連絡の予定を管理 
取引上の注意事項複数行テキスト納入、価格、請求、連絡方法等の注意を記録 

ポイント:取引先はルート営業CRMの基礎データである。同一企業を担当者ごとに重複登録せず、拠点・担当者・採用品目・活動・案件を関連付けて関係性を表現する。

5.2 担当者モジュール / Contacts

目的

顧客企業の購買、利用部門、現場責任者、経営層、経理、品質・安全担当等を管理する。意思決定上の役割、関心商品、連絡方法、関係する拠点・案件を明確にし、異動・退職や自社担当変更時も関係を引き継げる状態にする。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
氏名標準テキスト担当者の氏名を管理 
所属会社取引先参照所属する取引先に紐づける 
所属拠点拠点参照本社、工場、店舗、営業所等を管理 
部署テキスト購買、利用部門、経理、現場等を管理 
役職テキスト役員、部長、店長、担当者等を管理 
役割ピックリスト営業・取引上の役割を管理決裁者/発注者/利用者/推進者/評価者/経理窓口/その他
キーパーソン区分ピックリスト意思決定への影響度を管理決裁者/推進者/評価者/実務担当/反対者/通常窓口
電話番号標準電話会社電話番号を管理 
携帯番号標準電話直接連絡用の番号を管理 
メールアドレス標準メール資料送付、通知、メール連携に利用 
希望連絡方法ピックリスト顧客に合わせた連絡手段を管理電話/メール/訪問/Teams等/FAX/その他
関心商品・課題複数行テキスト提案テーマ、困りごと、使用商品を記録 
商談影響度ピックリスト採用・価格判断への影響度を管理高/中/低/不明
異動・退職確認日日付担当者情報の鮮度管理に利用 
関係性メモ複数行テキスト交渉傾向、関心事項、注意点を記録 

ポイント:発注窓口だけでなく、商品を実際に使用する担当者、推進者、決裁者、反対者を把握することで、追加提案と問題対応の精度を高める。

5.3 顧客拠点・店舗モジュール / Custom Module

目的

本社、工場、店舗、営業所、事業所、倉庫、現場等を顧客企業に紐づけて管理する。訪問先、納入先、使用商品、担当者、営業エリア、訪問周期、売上傾向を拠点単位で把握し、同一企業内の横展開とルート設計に利用する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
拠点名標準テキスト訪問先・納入先を識別する名称を管理 
関連取引先取引先参照親となる顧客企業に紐づける 
拠点コードテキスト販売管理・配送先コードとの照合に利用 
拠点区分ピックリスト拠点の役割を分類本社/工場/店舗/営業所/事業所/倉庫/現場/納入先
住所標準住所訪問・配送先住所を管理 
営業エリアピックリスト担当エリアとルート編成に利用地域・支店別に設定
担当営業ユーザー参照主担当者を指定 
訪問優先度ピックリスト拠点単位の訪問優先度を管理最優先/高/通常/低/随時
推奨訪問周期ピックリスト拠点ごとの標準接触頻度を管理毎週/隔週/月1回/2か月/四半期/随時
主要担当者担当者参照拠点の主な窓口を紐づける 
主要商品カテゴリ複数選択拠点で使用・購入する商品分野を管理 
納入条件複数行テキスト搬入口、時間帯、車両、検品等の条件を記録 
最終訪問日日付活動登録から自動更新 
次回訪問予定日日付次回の訪問予定を管理 

ポイント:ルート営業の実際の管理単位は会社よりも拠点である場合が多い。企業全体の取引関係と、拠点ごとの営業活動を分けて管理する。

5.4 営業ルート・訪問計画モジュール / Custom Module

目的

担当顧客の巡回計画、推奨訪問周期、訪問曜日、優先度、前回訪問、次回予定、訪問目的を管理する。固定ルートを機械的に維持するのではなく、顧客ランク、案件、注文減少、問い合わせ、更新時期等に応じて訪問優先度を調整できる設計とする。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
ルート計画名標準テキスト営業ルート・巡回計画を識別例:月曜A地区/第1・3水曜工場ルート
担当営業ユーザー参照ルートの責任者を指定 
対象営業所ピックリスト所属営業所・チームを管理 
対象曜日ピックリスト標準巡回曜日を設定月/火/水/木/金/その他
週区分ピックリスト隔週・月次ルートを区分毎週/第1・3週/第2・4週/月1回/随時
対象顧客・拠点関連参照巡回対象を紐づける 
訪問順序数値標準的な訪問順を管理 
推奨訪問周期ピックリスト顧客ごとの接触基準を管理毎週/隔週/月1回/2か月/四半期
前回訪問日日付最新の訪問実績から自動更新 
次回訪問予定日日付次回予定を管理 
最終接触日日付電話・メールを含む最終接触を自動更新 
訪問周期超過日数計算推奨周期を超過した日数を算出 
訪問目的複数選択今回訪問の目的を設定定期確認/見積フォロー/採用拡大/新商品/価格改定/問題対応
重点テーマテキスト今回確認する商品・課題を記録 
関連案件案件参照進行中案件に紐づける 
未完了タスク数集計顧客に関する宿題・期限を把握 
未フォロー見積数集計見積提出後未対応を把握 
問い合わせ件数集計未完了の問い合わせを把握 
訪問優先度計算・ピックリスト複数条件から優先順位を管理緊急/高/通常/低
ルート状態ピックリスト計画の有効状態を管理有効/見直し中/一時停止/終了
備考複数行テキスト駐車、受付、訪問時間等の注意を記録 

ポイント:訪問計画はスケジュール表ではなく、顧客カバレッジを確保する仕組みである。最終接触日と次回アクションを活動履歴から自動更新する。

5.5 活動モジュール / Calendar・Tasks・Events

目的

訪問、電話、メール、Web会議、見積説明、商品提案、納期調整、クレーム報告等を記録する。長文の日報ではなく、「何を確認したか」「顧客の反応」「次に何をするか」を簡潔に残し、活動完了時に次回アクションを設定する運用とする。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
活動件名標準テキスト活動を識別する名称を管理例:A社月次訪問/B工場見積説明
活動種別ピックリスト接点を分類訪問/電話/メール/Web会議/見積説明/納期調整/問題対応
関連取引先取引先参照活動対象の顧客を紐づける 
関連拠点拠点参照実際の訪問・対応先を紐づける 
関連担当者担当者参照面談・連絡相手を紐づける 
関連案件案件参照採用拡大・価格改定等に紐づける 
関連商品商品参照提案・確認対象の商品を紐づける 
実施日時日時活動の実施日時を管理 
予定・実績区分ピックリスト計画と完了を区分予定/実施済/延期/中止
対応者ユーザー参照社内の活動担当者を管理 
訪問目的複数選択活動の目的を明確化定期確認/採用拡大/見積/新商品/価格/納期/クレーム
活動要旨複数行テキスト確認内容と顧客反応の要点を記録 
顧客課題・要望複数行テキスト顧客が抱える課題・依頼を記録 
競合・市場情報複数行テキスト競合商品、価格、切替状況を記録 
次回アクションテキスト次に行う対応を記録 
次回期限日付次回対応の期限を管理 
次回活動種別ピックリスト次の接点方法を設定訪問/電話/メール/見積提出/資料送付/社内確認
フォロー完了チェックボックス宿題・次回対応の完了確認に利用 

ポイント:営業担当者の入力メリットを優先する。訪問前の確認、ToDo管理、見積フォロー、引継ぎに使われる情報だけを必須とする。

5.6 案件モジュール / Potentials

目的

既存顧客への新商品提案、採用品目拡大、競合切替、他拠点展開、設備更新、価格改定、休眠復活等を管理する。日常訪問のすべてを案件化せず、売上・粗利・取引関係に変化を生む営業テーマを案件として追跡する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
案件名標準テキスト営業機会を識別する名称を管理例:A社安全用品採用拡大/B工場設備更新
取引先取引先参照案件相手となる顧客を紐づける 
対象拠点拠点参照提案・採用対象の拠点を紐づける 
顧客担当者担当者参照決裁者・利用者・発注者を紐づける 
主担当者ユーザー参照社内の営業責任者を指定 
案件種別ピックリスト営業テーマを分類新商品/採用拡大/競合切替/他拠点展開/設備更新/価格改定/休眠復活
案件ステージピックリスト営業進捗を管理機会発見/課題確認/商品選定/試用・評価/見積/条件調整/受注/失注
対象商品・カテゴリ商品参照提案対象を紐づける 
現行商品・競合テキスト現在採用中の商品・競合を記録 
顧客課題複数行テキスト採用理由となる課題・背景を記録 
提案価値複数行テキスト価格以外の改善効果を記録 
想定数量・頻度数値またはテキスト月間数量、年間数量、発注周期を把握 
想定売上通貨案件の売上見込みを管理 
想定粗利通貨または計算採算判断に利用 
受注確度パーセント売上予測に利用10%/30%/50%/70%/90%
受注予定日日付採否・注文時期を管理 
次回アクションテキスト次に実施する対応を記録 
次回アクション日日付放置防止用の期限を設定 
失注・保留理由ピックリスト失注要因の分析に利用価格/仕様/納期/現状維持/競合関係/予算/時期延期/連絡不通

ポイント:案件は日常活動と売上機会を分ける単位である。受注後は採用品目、受注情報、設備・契約台帳へ結果を反映し、次の深耕活動へつなげる。

5.7 採用品目・取引深耕モジュール / Custom Module

目的

顧客・拠点と商品・商品カテゴリの組み合わせごとに、採用状況、購買頻度、競合品、提案履歴、未採用理由、再提案時期を管理する。顧客内の取引余地を可視化し、担当者の経験だけに依存しない提案テーマを作る。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
採用品目管理番号自動採番顧客・商品関係を一意に識別 
関連取引先取引先参照対象顧客を紐づける 
対象拠点拠点参照採用状況を管理する拠点を紐づける 
商品・カテゴリ商品参照対象商品またはカテゴリを紐づける 
採用状況ピックリスト現在の関係を管理採用中/試用中/提案中/未採用/競合採用/休止/対象外
採用開始日日付採用・取引開始時期を管理 
最終受注日日付販売実績連携または手動で更新 
発注頻度ピックリスト購買周期の把握に利用毎日/毎週/月次/隔月/四半期/年次/不定期
標準数量数値通常発注量・使用量を管理 
年間売上通貨品目別取引規模を管理 
競合メーカー・商品テキスト現在の競合採用品を記録 
競合採用理由複数行テキスト価格、仕様、関係性等を記録 
未採用理由ピックリスト提案課題の分析に利用価格/仕様/品質/納期/既存契約/切替負荷/必要なし/未提案
次回提案テーマテキスト再提案する商品・条件を記録 
再提案予定日日付提案再開の時期を管理 
関連案件案件参照採用拡大・切替案件に紐づける 
ステータス更新日日付情報鮮度の確認に利用 

ポイント:採用品目はルート営業におけるホワイトスペース分析の中心である。売上明細をそのまま保持せず、営業判断に必要な採用状態と変化を管理する。

5.8 商品・サービスモジュール / Products・Services

目的

自社商品、仕入商品、サービス、商品カテゴリ、メーカー、標準価格、代替品、重点商品等を管理する。販売管理の商品マスタを正とする場合は、CRMには営業提案に必要な要約と商品コードを連携する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
商品名標準テキスト商品・サービスを識別する名称を管理 
商品コードテキスト販売管理との照合キーを記録 
商品カテゴリピックリスト提案・分析単位を分類消耗品/部材/工具/設備/食品/建材/医療・衛生/サービス/その他
メーカー取引先参照またはテキスト仕入先・メーカーを管理 
ブランドテキストブランド・シリーズを管理 
標準売価通貨参考価格を管理 
標準仕入価格通貨または非公開項目見積・粗利判断に利用 
単位ピックリスト販売単位を管理個/箱/ケース/kg/m/式/月/その他
標準納期数値・テキスト通常納期を管理在庫品/営業日/受注生産
重点商品区分ピックリスト営業施策の対象を管理最重点/重点/通常/終売予定
新商品区分チェックボックス新商品提案対象に利用 
代替商品商品参照欠品・切替時の代替品を紐づける 
関連商品複数参照併売・クロスセル商品を紐づける 
対象業種複数選択提案先の抽出に利用 
商品ステータスピックリスト販売可否を管理販売中/新商品/在庫限り/終売予定/終売/一時停止
カタログURLURL商品資料へのリンクを管理 
営業トーク・訴求点複数行テキスト提案時の要点を共有 
取扱注意事項複数行テキスト法規、保管、配送等の注意を記録 

ポイント:商品マスタは見積、採用品目、案件、問い合わせを結ぶキーである。商品数が多い場合はカテゴリ単位から開始し、重点商品だけを詳細管理する。

5.9 見積モジュール / Quotes

目的

商品、数量、販売価格、仕入価格要約、粗利、納期、特別条件、有効期限、承認状況を管理する。改訂時は旧版を上書きせず、変更理由、提示日、顧客回答、失注理由を履歴として保持する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
見積番号自動採番見積を一意に識別する番号 
見積版数テキスト初版・改訂版を管理初版/第2版/第3版/Rev.A等
関連案件案件参照元となる案件に紐づける 
関連取引先取引先参照顧客企業を紐づける 
対象拠点拠点参照提案・納入対象拠点を紐づける 
商品・数量明細見積対象商品と数量を管理 
見積金額通貨顧客向け提示金額を管理 
見込粗利率計算売価と仕入要約から算出 
回答納期日付またはテキスト顧客へ回答する納期を管理 
見積有効期限日付価格・条件の有効期限を管理 
顧客提示日日付見積提出日を管理 
フォロー期限日付提出後の確認期限を管理 
承認状況ピックリスト値引き・低粗利・重要条件の承認を管理未申請/申請中/承認済/差戻し/却下
顧客回答ピックリスト見積結果を管理未確認/検討中/採用/一部採用/失注/保留

ポイント:見積提出後のフォロー期限を必ず設定し、提出したまま放置される状態を防ぐ。特別価格・低粗利は承認と適用期限を管理する。

5.10 価格・取引条件管理モジュール / Custom Module

目的

顧客別・商品別の特別価格、値引条件、支払条件、送料、最低発注量、リベート、価格改定、適用期間を管理する。基幹の価格マスタと役割分担し、CRMでは交渉根拠、顧客合意、期限、次回見直しを共有する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
条件管理番号自動採番価格・取引条件を一意に識別 
関連取引先取引先参照対象顧客を紐づける 
対象拠点拠点参照拠点固有条件を紐づける 
対象商品・カテゴリ商品参照適用対象を管理 
条件種別ピックリスト管理する条件を分類特別価格/値引率/送料/最低発注量/支払条件/リベート/価格改定
現行条件テキストまたは通貨現在適用中の条件を管理 
改定希望条件テキストまたは通貨変更案・希望条件を管理 
改定根拠複数選択価格変更理由を管理仕入価格/物流費/労務費/為替/数量/納期/仕様/その他
適用開始日日付条件の開始日を管理 
適用終了日日付特価・契約条件の期限を管理 
回答期限日付顧客・社内回答の期限を管理 
ステータスピックリスト検討から適用までを管理候補/社内検討/提示済/交渉中/合意/見送り/適用済/終了
社内承認状況ピックリスト特別条件の承認を管理未申請/申請中/承認済/差戻し/却下
承認者ユーザー参照重要条件の承認者を指定 
顧客合意記録複数行テキスト合意内容、条件、日付を記録 
関連見積見積参照根拠となる見積を紐づける 
次回見直し日日付条件再確認の時期を管理 

ポイント:価格条件を担当者のメールや記憶に閉じない。期限切れ特価、未転嫁、口頭合意、条件相違を防ぐため、承認・適用期間・証跡を残す。

5.11 受注・納期情報モジュール / Sales Orders・Invoices

目的

受注確定後の商品、数量、単価、納入先、希望納期、回答納期、分納、欠品、請求予定、基幹連携状態を管理する。正式な受注残・在庫引当・出荷・売上・入金は販売管理を正とし、CRMでは営業が顧客対応に必要な情報を参照する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
受注番号自動採番受注を一意に識別 
関連案件案件参照元となる案件に紐づける 
関連見積見積参照採用された見積版を紐づける 
関連取引先取引先参照顧客企業を紐づける 
対象拠点・納入先拠点参照納入先を管理 
顧客注文番号テキスト顧客側の注文番号を管理 
商品・数量明細受注商品と数量を管理 
受注金額通貨確定受注金額を管理 
希望納期日付顧客希望納期を管理 
回答納期日付自社回答納期を管理 
納期状況ピックリスト顧客対応上の状態を管理回答待ち/確定/分納/遅延懸念/遅延/完納
欠品・代替状況ピックリスト在庫・代替対応を管理問題なし/欠品/入荷待ち/代替提案/一部確保
配送条件複数行テキスト時間帯、車両、検品、現場条件を記録 
基幹連携区分ピックリスト販売管理への連携状態を管理未連携/連携待ち/連携済/差戻し/対象外
請求予定日日付請求確認に利用 
請求ステータスピックリスト請求・会計連携状態を管理未予定/予定済/請求済/入金確認済/差戻し
営業確認要否チェックボックス営業が追跡すべき例外を識別 
注意事項複数行テキスト納入・請求・顧客対応の注意を記録 

ポイント:VtigerCRMを販売管理の正本にするかは別途判断する。初期は重要受注、例外納期、基幹連携状態に絞り、二重入力を避ける。

5.12 問い合わせ・クレームモジュール / HelpDesk

目的

納期確認、欠品、誤納、返品、品質問題、商品質問、価格照会、請求確認等を管理する。受付内容、対象商品、重要度、回答期限、担当部門、対応経緯、顧客報告を標準化し、営業・購買・物流・管理部門で共有する。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
チケット番号自動採番問い合わせを一意に識別 
取引先取引先参照問い合わせ元の顧客を紐づける 
関連拠点拠点参照対象となる拠点・納入先を紐づける 
関連担当者担当者参照顧客側の連絡窓口を紐づける 
対象商品・受注商品・受注参照問題対象の商品・注文を紐づける 
問合せ種別ピックリスト対応内容を分類納期/欠品/誤納/返品/品質/商品質問/価格/請求/その他
重要度ピックリスト顧客・業務への影響度を管理低/中/高/緊急
受付日時日時問題受付日時を管理 
回答期限日時一次回答・正式回答の期限を設定 
担当部門ピックリスト対応先を管理営業/営業事務/購買/物流/品質/経理/メーカー
ステータスピックリスト受付から完了までを管理新規/確認中/仕入先待ち/顧客確認待ち/対応中/完了/保留
問い合わせ内容複数行テキスト事象、数量、顧客要望を記録 
対応内容・回答複数行テキスト代替、分納、返品、説明等を記録 
完了日日付対応完了日を管理 

ポイント:問題対応を営業担当者のメールに閉じず、顧客・商品・受注に紐づける。重大案件と期限超過を自動通知し、完了後は再発防止に利用する。

5.13 ドキュメントモジュール / Documents

目的

見積書、商品資料、仕様書、カタログ、契約書、価格表、議事録、写真、納期回答、クレーム報告等を顧客・拠点・案件・商品・問い合わせに紐づける。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
文書名標準テキスト資料名・ファイル名を管理 
文書区分ピックリスト文書の種類を分類見積書/カタログ/仕様書/価格表/契約書/議事録/写真/納期回答/クレーム資料
関連取引先取引先参照文書に関係する顧客を紐づける 
関連拠点拠点参照対象となる拠点を紐づける 
関連案件案件参照提案・価格改定等に紐づける 
関連商品商品参照対象商品を紐づける 
関連見積見積参照見積・価格資料を紐づける 
関連問い合わせチケット参照問題対応資料を紐づける 
版数テキスト文書のバージョンを管理初版/第2版/Rev.A/最新版等
作成日・提出日日付作成・顧客提出日を管理 
適用日・有効期限日付価格表、契約、証明書等の期限に利用 
承認状況ピックリスト社内・顧客確認の状態を管理未申請/申請中/承認済/差戻し/不要
公開範囲ピックリスト閲覧・共有範囲を管理社内全体/関係部門/営業限定/管理部門限定/役員限定
機密区分ピックリスト機密性の管理に利用通常/価格・仕入/契約/個人情報/クレーム/管理者限定
外部保管先URLURLクラウドストレージ等の正本保管先を記録 
原本保管場所テキスト紙原本・電子契約等の所在を記録 
更新責任者ユーザー参照最新版管理の責任者を指定 

ポイント:大容量ファイルはSharePoint、OneDrive、Google Drive、Box、NAS等を正本とし、VtigerCRMにはリンク、版数、概要、公開範囲を登録する方式が現実的である。

5.14 納入設備・契約更新モジュール / Custom Module

目的

設備、機器、耐久財、レンタル、保守契約、年間契約等を扱う場合に、納入先、製造番号、納入日、保証、保守、契約期間、更新時期、交換部品、問い合わせを管理する。消耗品中心の商社では、定期注文・発注周期管理に置き換える。

主な項目

フィールド名種別説明ピックリスト候補値・設定例
台帳番号自動採番納入設備・契約を一意に識別 
台帳名標準テキスト設備、機器、契約、定期注文を識別 
顧客企業取引先参照対象顧客を紐づける 
設置・納入拠点拠点参照設置先・納入先を紐づける 
対象商品・サービス商品参照対象設備・契約・定期品を紐づける 
管理種別ピックリスト品目特性に応じた管理を分類設備/機器/レンタル/保守契約/年間契約/定期注文
製造番号・契約番号テキスト個体・契約を識別 
納入・開始日日付取引開始日を管理 
保証・契約終了日日付保証・契約期限を管理 
更新・交換予定日日付更新提案時期を管理 
担当営業ユーザー参照更新・フォロー責任者を指定 
ステータスピックリスト利用・契約状態を管理稼働中/契約中/更新提案/更新予定/終了/撤去
注意事項複数行テキスト保守、交換部品、発注周期等を記録 

ポイント:品目固有の管理は共通CRMの上に追加する。設備・契約更新、定期補充、ロット・期限等から、自社の取扱品目に最も効果の高い機能を選択する。

6. 案件ステージ設計

ステージ内容次に進む条件
1. 機会発見定期訪問、売上減少、未採用品目、更新時期から営業テーマを特定顧客・拠点・対象商品・仮説を登録
2. 課題・ニーズ確認現状商品、使用量、困りごと、決裁者、時期を確認顧客課題と提案対象が明確
3. 商品・提案方針選定候補商品、競合、提案価値、仕入先条件を整理提案商品と説明方針が確定
4. サンプル・デモ・評価サンプル、テスト、現場評価、他部署確認を実施評価結果と採用条件を確認
5. 見積準備数量、価格、納期、特別条件、粗利、承認を整理見積承認が完了
6. 見積提出顧客へ見積・提案資料を提示顧客回答日・フォロー期限を設定
7. 条件調整・顧客検討価格、納期、仕様、商流、切替時期を調整採否条件と残課題が明確
8. 受注内示採用方針または注文予定を確認数量・納入先・注文時期を確認
9. 受注・採用注文・採用が確定受注、採用品目、次回フォローへ反映
10. 失注・保留不採用、延期、現状維持、競合継続理由・再提案日・代替施策を登録

ポイント:日常の定期訪問は活動履歴で管理し、売上・粗利・採用状態の変化を伴う営業テーマだけを案件化する。受注後は採用品目、受注情報、設備・契約台帳へ結果を反映する。

7. 主要ワークフロー設定例

① 訪問予定・推奨訪問周期の超過通知

項目内容
対象推奨訪問周期を超過した顧客・拠点
条件次回訪問予定が未設定、または予定日を超過
処理担当営業へ通知し、期限付きタスクを自動作成
管理者通知重点顧客は営業管理者にも週次通知
狙い訪問しやすい顧客への偏りと重点顧客の放置を防ぐ

② 活動完了時の次回アクション自動作成

項目内容
対象訪問・電話・Web会議等の完了活動
条件活動完了時に次回アクションまたは期限が未設定
処理次回対応入力を促し、必要に応じてタスクを自動作成
自動更新取引先・拠点の最終接触日と次回予定日を更新
狙い活動記録を日報で終わらせず、次の営業行動へつなげる

③ 長期未接触・取引減少顧客のアラート

項目内容
対象最終接触日または最終受注日が基準を超過した顧客
条件顧客ランク別の基準、売上前年比、案件・問い合わせ有無を判定
処理休眠候補リストへ追加し、担当者に確認タスクを作成
狙い取引減少・担当者変更・競合切替の兆候を早期に把握

④ 見積提出後のフォロー漏れ防止

項目内容
対象見積提出済みの見積・案件
条件フォロー期限超過、顧客回答未確認、次回アクション未設定
処理担当営業へ通知し、一定期間後は管理者へエスカレーション
完了条件顧客回答、保留理由、失注理由、再提案日を登録
狙い見積提出後の放置と受注機会の取りこぼしを防ぐ

⑤ 未採用品目・重点商品の提案候補抽出

項目内容
対象重点商品・新商品の対象顧客
条件顧客業種・拠点・既存採用品目と商品対象条件が一致
処理未採用顧客を抽出し、提案候補またはキャンペーン対象へ追加
除外対象外、失注直後、契約制約等は除外理由を記録
狙い担当者の記憶に依存せず、顧客内の取引余地を可視化

⑥ 受注時の採用品目・顧客情報更新

項目内容
対象案件ステージが受注・採用へ変更された案件
処理1採用品目の状態を採用中へ更新、採用開始日を設定
処理2必要に応じて受注・基幹連携タスクを作成
処理3初回納入確認・追加提案・他拠点展開の次回タスクを作成
狙い受注で営業管理を終わらせず、継続取引と横展開へつなげる

⑦ 発注周期・設備・契約更新時期の通知

項目内容
対象定期補充品、設備、保守契約、年間契約
条件発注予測日、更新予定日、保証終了日の一定日前
処理担当営業へ提案準備タスクを作成し、対象顧客を一覧化
確認事項使用量、在庫、予算、競合、更新条件を確認
狙い顧客から依頼を待つのではなく、適切な時期に先回りする

⑧ 特別価格・価格改定の期限通知と承認

項目内容
対象特別価格、値引き、価格改定、期限付き取引条件
条件粗利基準未満、承認期限超過、適用終了前、顧客回答期限超過
処理承認依頼、担当者通知、価格条件の失効・再確認タスクを作成
証跡提示資料、顧客合意、承認者、適用期間を保存
狙い口頭条件、期限切れ特価、価格転嫁漏れを防ぐ

⑨ 納期問題・重大クレームのエスカレーション

項目内容
対象重要度が高・緊急の納期問題、欠品、誤納、品質問題
条件回答期限超過、顧客影響大、同一顧客・商品で再発
処理営業管理者、購買・物流責任者へ通知し、顧客報告タスクを作成
完了条件対応内容、顧客了承、再発防止、完了日を登録
狙い重大問題を個人対応にせず、組織で期限管理する

⑩ 販売管理・基幹連携用データ整備

項目内容
対象受注確定・採用確定した案件または見積
処理1顧客コード、商品コード、納入先、価格、納期、担当者を検証
処理2連携状態を管理し、コード未設定・価格不一致・担当不明を通知
狙い販売管理への転記漏れ・照合負荷・連携エラーを減らす

8. 権限・共有設定の例

全社員利用を前提としつつ、仕入価格、粗利、特別価格、取引条件、個人情報、クレーム情報は必要な範囲に限定する。ロール、プロファイル、共有ルール、項目権限を組み合わせ、営業、営業事務、購買、物流、管理部門の役割に応じて閲覧・編集範囲を設計する。

ロール想定ユーザー主な権限
経営者・役員経営層全社ダッシュボード、売上・粗利・案件・活動を閲覧。必要に応じて原価を閲覧
営業部長・支店長営業責任者管轄組織の顧客、活動、案件、見積、価格条件を閲覧・承認
営業リーダーチーム責任者担当チームの訪問計画、活動、案件、期限超過を閲覧・更新
ルート営業担当営業担当者担当顧客・共有顧客の活動、案件、見積、採用品目を登録・更新
営業事務営業支援顧客・担当者、見積、受注連携、資料、タスクを登録・更新
購買・商品担当仕入・商品部門商品、仕入先、納期回答、代替商品、問い合わせを更新
物流・倉庫担当物流部門納期、欠品、分納、配送条件、問い合わせを更新
カスタマーサポート受付・品質担当問い合わせ受付、対応履歴、FAQを登録・更新
経理・管理部門経理・総務請求予定、支払条件、顧客コード、必要な取引情報を閲覧・更新
システム管理者情報システム・運用担当ユーザー、権限、項目、ワークフロー、連携、バックアップを管理

ポイント:権限は「見せない」だけでなく、「顧客情報を誰が更新するか」「活動・見積・価格条件の責任者は誰か」「支店間でどこまで共有するか」を明確にする。

9. ダッシュボード・レポート例

対象レポート・指標目的
経営層顧客別・支店別の売上、粗利、案件、活動のサマリー事業状況と重点課題を把握
営業管理者顧客ランク別の推奨訪問数・実績・未訪問数重点顧客のカバレッジを確認
営業管理者担当者別の訪問件数、案件化率、見積件数、採用件数活動量と成果の関係を確認
営業担当者本日・今週の訪問予定、期限超過、未完了タスク日々の優先順位付けに利用
営業担当者訪問前チェックリスト:前回活動、見積、案件、問い合わせ訪問準備時間を短縮
営業部門長期未接触・次回予定未設定・休眠候補顧客放置と取引減少を防止
営業部門顧客・拠点別の採用品目、未採用品目、競合採用クロスセル・横展開候補を抽出
営業部門重点商品・新商品の提案対象、提案済、採用、失注商品施策の進捗と成果を確認
案件管理案件ステージ、受注予定、受注確度、失注理由売上見込みとボトルネックを把握
見積管理見積提出数、フォロー期限超過、受注率、粗利率見積の放置と低採算を改善
価格管理価格改定候補、交渉中、期限超過、適用済価格転嫁と条件更新を管理
購買・物流欠品、納期遅延、代替提案、未回答問い合わせ顧客影響のある例外を優先処理
管理部門顧客コード未設定、重複取引先、担当不明、連携エラーデータ品質と基幹連携を改善
引継ぎ管理退職・異動予定担当者の顧客、案件、未完了タスク担当変更時の漏れを防止

10. 初期導入時の現実的な最小構成

最初から受注明細、在庫、採用品目、価格条件、設備台帳をすべて詳細に作り込むと、項目数と入力負荷が増え、定着が遅れる。初期は顧客・拠点・担当者・活動・訪問計画・次回アクション・案件・見積履歴の共通基盤を構築し、効果が大きい領域から追加する。

優先度実装対象初期実装の考え方
A取引先・顧客拠点・担当者顧客コード、担当、ランク、訪問周期、キーパーソンを整備
A活動履歴・カレンダー・次回アクション訪問、電話、メールを簡潔に記録し、次の期限へ接続
A営業ルート・訪問周期重点顧客の未訪問と次回予定未設定を可視化
A案件管理採用拡大、新商品、競合切替、価格改定等だけを案件化
A見積履歴・フォロー期限提出後の追跡、版管理、受注・失注結果を記録
B採用品目・取引深耕重点商品カテゴリから開始し、未採用・競合採用を管理
B問い合わせ・納期問題営業、購買、物流の対応期限と顧客報告を共有
B販売管理データ取込顧客別売上、最終受注、商品カテゴリ別構成を定期取込
C価格・取引条件特別価格、価格改定、適用期限、承認を管理
C設備・契約更新・品目別拡張取り扱い品目に応じ、更新、定期補充、ロット等を追加

ポイント:初期構築では「訪問前に必要情報が分かる」「重点顧客を放置しない」「次に何をするか分かる」「担当変更時に引き継げる」状態を最優先にする。

11. 既存システム・データ連携方針

11.1 Excel・Googleスプレッドシートの移行

  • 顧客台帳、担当者一覧、訪問ルート、営業日報、案件台帳、見積履歴、商品別採用一覧、問い合わせ台帳を棚卸しし、重複・表記揺れ・不要列を整理する
  • 取引先・拠点・担当者・活動・次回予定・案件・見積を優先して移行し、過去の活動履歴は必要な期間と粒度を決める
  • 顧客コード、拠点コード、商品コード、旧担当者、旧ID、最終更新日を保持し、販売管理との照合ができるようにする
  • 移行後は、個人Excelを停止する範囲と、分析・一時作業として残す範囲を明確にする

11.2 メール・カレンダー・グループウェア・名刺管理

  • Microsoft 365またはGoogle Workspaceのメール・予定表について、必要に応じて活動履歴への紐づけや予定同期を検討する
  • Teams、Slack等は即時連絡を担い、顧客合意、価格条件、納期、次回対応等の確定情報はCRMに要約して残す
  • 名刺管理を利用している場合は、取引先・担当者の重複確認と、拠点・役割・担当営業への接続ルールを定義する
  • 自動連携が難しい場合は、まずCSV取込、メール転送、定型入力で運用を標準化する

11.3 販売管理・受発注・在庫・物流システム

  • 販売管理は受注、売上、請求、入金、商品価格を正とし、VtigerCRMには顧客関係、活動、案件、見積履歴、次回アクション、例外情報を保持する
  • 在庫・物流は在庫数、引当、入荷、出荷、配送を正とし、CRMには欠品、納期遅延、分納、代替提案、顧客影響を要約する
  • 売上明細を定期取込する場合は、顧客別売上推移、最終受注日、商品カテゴリ別構成、取引減少をCRMの営業アラートに利用する
  • 連携の優先順位は、二重入力削減、訪問準備時間、見積・納期回答速度、API・セキュリティ要件で決定する

11.4 会計・請求・BIシステム

  • 会計・請求システムは確定売上、仕訳、請求書、入金消込を正とし、CRMは案件、見積、受注予定、請求確認、顧客コードを整備する
  • 粗利をCRMで表示する場合は、営業に必要な範囲と閲覧権限を決め、仕入価格・原価情報の公開範囲を制御する
  • 初期はCSV出力・取込、次段階でAPIまたはRPA連携を検討する
  • 連携エラー、顧客コード未設定、担当者不一致、未連携をステータス管理し、月次集計前に確認できるようにする

11.5 文書・クラウドストレージ

  • 商品カタログ、仕様書、価格表、契約書、写真、クレーム資料等はSharePoint、OneDrive、Google Drive、Box、NAS等を正本保管先とする
  • VtigerCRMのドキュメントには、ファイルを直接保存するか、外部保管先URLと版数・公開範囲を登録する
  • 顧客・拠点・案件・商品・見積・問い合わせから関連文書へ到達できる索引構造を作る
  • 価格表、契約、個人情報、クレーム資料について、共有リンクの期限・権限・退職者対応を運用ルール化する

12. 導入スケジュール案

フェーズ目安主な作業成果物・完了条件
0. 現状整理・要件確認1~2週間営業ルート、顧客区分、活動、帳票、既存システム、課題を整理対象業務、初期範囲、運用責任者、KPIを合意
1. データ整備2~3週間顧客・拠点・担当者・商品コードの重複、表記揺れ、担当を整理移行データ、コード対応表、データ更新ルール
2. 基本構築2~3週間モジュール、項目、権限、訪問周期、ワークフロー、レポートを設定テスト環境で基本業務が実行可能
3. パイロット運用2~4週間1営業所・1チームで訪問計画、活動、案件、見積を試行入力項目・通知・ルート運用の改善点を反映
4. 全社展開2~4週間ユーザー教育、データ移行、管理者運用、既存Excel停止を実施対象営業所で日常運用を開始
5. 拡張・連携継続採用品目、売上取込、価格条件、問い合わせ、設備更新、API連携を追加KPI改善を確認しながら段階的に拡張

ポイント:期間はユーザー数、営業所数、既存データ量、販売管理連携、採用品目の管理粒度、カスタムモジュール数によって変動する。最初に1営業所または1営業チームで試行し、入力項目と訪問運用を固めてから全社へ広げる方法が現実的である。

13. OSS版VtigerCRM採用の意義

ルート営業型商社では、営業担当者だけでなく、営業事務、購買、物流、管理部門が同じ顧客対応に関わる。OSS版VtigerCRMを顧客対応の共通業務基盤として設計し、必要な部門が同じ顧客・活動・案件・問い合わせを確認できる状態を作ることに意義がある。

  • 顧客を起点に、拠点、担当者、訪問、案件、見積、採用品目、価格条件、問い合わせを一つの基盤で確認できる
  • ユーザー数増加に伴うCRM本体のライセンス費増を抑えやすく、営業以外の部門や複数営業所へ展開しやすい
  • 標準モジュール、項目、ワークフロー、権限、レポートを中心に、自社のルート営業方法へ段階的に合わせられる
  • データを自社管理し、販売管理、在庫、会計、ストレージとのAPI・CSV・RPA連携を自社方針で検討できる
  • 一方で、サーバー運用、セキュリティ更新、バックアップ、障害対応、拡張機能の互換性確認を継続的に行う必要がある

最終的には、VtigerCRMを「営業日報を入力するシステム」ではなく、顧客を適切な周期でカバーし、取引減少を防ぎ、未採用品目を提案し、次の行動を決めるための共通営業基盤として運用する。

14. より詳細化するために確認したい事項

確認テーマ主な確認事項
取扱商品・商流主要カテゴリ、メーカー・仕入先、直販・代理店、定番品・設備・サービスの比率
顧客構造顧客数、拠点数、担当者数、業種、重点顧客、休眠顧客の定義
営業組織営業所、チーム、担当エリア、担当顧客数、担当変更・応援体制
ルート営業方法固定曜日、訪問周期、1日訪問件数、電話・メールとの使い分け
活動記録現在の日報・活動報告、必須項目、管理者が確認したい内容
営業機会新商品、採用拡大、競合切替、他拠点展開、価格改定等の案件定義
採用品目管理商品単位かカテゴリ単位か、競合品、発注周期、未採用理由の必要粒度
見積・価格条件見積作成方法、承認、粗利、特別価格、価格改定、適用期限
受注・納期・問い合わせ販売管理、欠品・遅延、返品、クレーム、顧客回答の現行フロー
既存システム販売管理、在庫、会計、メール、予定表、名刺管理、ストレージ、BI
データ移行・連携顧客コード、商品コード、過去履歴、売上明細、CSV・API可否
権限・展開計画支店間共有、仕入・粗利・価格の閲覧範囲、パイロット部門、開始時期

15. 参考情報

本資料の業務設計は、以下の公開情報および一般的なBtoB商社・ルート営業の業務プロセスを参考に作成した。実際の構築時には、対象企業の取扱商品、顧客構成、商流、販売管理、営業所体制、情報セキュリティ方針を確認し、項目・権限・ワークフローを調整する。

  • 中小企業庁「2026年版 中小企業白書・小規模企業白書」 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2026/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf
  • 中小企業庁「2024年版 中小企業白書 第7節 DX」 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/chusho/b1_4_7.html
  • 総務省統計局「労働力調査 2025年平均結果」 https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/youyaku.pdf
  • 公正取引委員会「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」 https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/dec/202512_roumuhi.html