VtigerCRM(オープンソース版)の標準機能である「PBX Manager」は、基本的にAsterisk(アスタリスク)というPBXソフトウェアとの連携を前提に設計されています。そのため、連携可能なシステムは「Asteriskベースのもの」が中心となります。
以下に詳細をまとめました。
VtigerCRM PBXマネージャー連携対応表
VtigerCRM(オープンソース版)の標準「PBX Manager」モジュールで連携可能なIP-PBXシステムおよび、連携方式についての技術情報です。
目次
1. 標準対応(Asteriskベース)
VtigerCRMが標準で提供している「Vtiger Asterisk Connector」を使用することで連携可能なシステムです。最も一般的で安定した構成です。
| IP-PBX名称 | 連携可否 | 備考 |
| Asterisk | ◎ (推奨) | オープンソースのIP-PBX。VtigerのPBX機能は、このAsteriskのAMI(Asterisk Manager Interface)と通信するように設計されています。 |
| FreePBX | ○ | AsteriskのGUI管理ツール。世界で最も普及しているAsteriskディストリビューションです。Asteriskとして振る舞うため連携可能です。 |
| Elastix / Issabel | ○ | Asteriskベースの統合通信サーバー。FreePBX同様、AMI経由での連携が可能です。 |
| Yeastar (S-Series等) | △ (条件付) | Yeastarの一部のモデルはAMI(ポート5038等)を開放しており、VtigerからAsteriskとして接続できる場合があります。※機種とファームウェアに依存します。 |
接続の仕組み
- Vtiger Asterisk Connector というJavaプログラム(ミドルウェア)をPBXサーバー(または中継サーバー)にインストールし、それがVtigerとPBXの間の通信を仲介します。
- Vtiger側では、PBX Manager設定画面で「Asterisk Server IP」「Port」などを指定します。
2. 拡張機能または外部連携が必要なもの
VtigerCRMの標準機能だけでは直結できませんが、ベンダーが提供するプラグインや、3CX側の機能を利用することで連携可能なシステムです。
| IP-PBX名称 | 連携方法 | 詳細 |
| 3CX | 3CX側で設定 | 3CXが提供する「CRM Integration」機能を使用します(サーバーサイド連携)。3CXの設定画面でVtigerを選択し、URLやアクセスキーを入力することで、着信時のポップアップやコンタクト同期が可能になります。 |
| Twilio | 拡張機能 | オープンソース版で利用するには、サードパーティ製の「Twilio Integration」モジュール(有料)などを導入する必要があります。 |
| Plivo | 拡張機能 | 同上。サードパーティ製モジュールの導入が必要です。 |
| Avaya / Cisco | 要開発 | 標準では連携できません。CTIミドルウェア(TAPIドライバ等)を介したカスタマイズ開発が必要になるケースが一般的です。 |
3. 日本国内での利用について
日本国内の通信キャリア(NTTひかり電話、楽天コミュニケーションズ、KDDIなど)の回線をVtigerと連携させたい場合、以下のような構成をとるのが一般的です。
- ゲートウェイの設置:
- 社内に Asteriskサーバー(またはFreePBX) を構築します。
- 外線収容:
- Asteriskに「ひかり電話」や「IP電話回線」を収容(レジスト)します。
- Vtiger連携:
- このAsteriskとVtigerCRMを「PBX Manager」で接続します。
- 内線電話機(SIPフォンやソフトフォン)はAsteriskに接続します。