オープンソース版のVtigerCRMを長く運用していると、誰もが直面する課題があります。それはデータ量の増加に伴う、画面表示の極端な遅れ」です。

顧客データや案件データが数万、数十万件と蓄積されてくると、一覧画面を開くだけで数秒〜十数秒待たされる…という経験はないでしょうか?

多くの管理者はここで「サーバーのスペック不足(CPUやメモリ)」や「MySQLのチューニング」を疑いますが、実は「使っているブラウザ」を変えるだけで劇的に改善するケースがあることが判明しました。

今回は、コストをかけずに今日からできるVtigerCRMのパフォーマンス改善策として、Microsoft EdgeMozilla Firefoxの活用についてご紹介します。

なぜ「Google Chrome」だと遅くなるのか?

現在、世界で最もシェアが高いブラウザはGoogle Chromeです。VtigerCRMを利用する際も、なんとなくChromeを使っている方が大半でしょう。

しかし、VtigerCRM(特にオープンソース版の旧来のアーキテクチャ)は、画面を表示する際に大量のHTML要素(DOM)を一度に生成する傾向があります。

実は、私たちが直面していた「遅さ」の原因を調査したところ、以下のことが分かりました。

  1. サーバー側の処理は終わっている:PHPやMySQLがデータを返す処理自体はそれほど遅くない。
  2. ブラウザの描画(レンダリング)で詰まっている:サーバーから受け取った大量のデータを、ブラウザが画面に「絵」として描画する処理に時間がかかっている。

Chromeは非常に高速なブラウザですが、メモリ消費量が多く、Vtigerのような「大量のテーブルデータを持つレガシーなWebアプリ」の描画において、特定の条件下でレンダリングがもたつく現象が確認されています。

解決策:Edge または Firefox を試してみる

そこで、同じ環境、同じデータ量のVtigerCRMを、別のブラウザで開いて検証を行いました。その結果、以下のブラウザにおいて表示速度(体感レスポンス)の向上が見られました。

1. Microsoft Edge

現在のEdgeはChromeと同じ「Chromiumベース」ですが、Microsoft独自のメモリ管理や最適化が施されています。特にビジネスアプリケーションや大量のデータグリッド表示において、Chromeよりも軽快に動作するケースが多く報告されています。

  • メリット: Windows標準搭載のため、追加インストール不要で試せる。

2. Mozilla Firefox

Firefoxは「Gecko」という独自のレンダリングエンジンを使用しています。Chrome(Blinkエンジン)とは処理の仕組みが異なるため、Chromeで「詰まる」ような大量のリスト表示でも、Firefoxならスムーズに流れることがよくあります。

  • メリット: 描画エンジンの設計が異なるため、Chrome系で遅い場合の「切り札」になりやすい。

実際に確認された効果

私たちの環境(数十万件のレコードを持つVtigerCRM)で検証したところ、以下のような変化がありました。

  • 詳細画面への遷移: クリックしてから画面が固まる時間が短縮された。
  • スクロール時のカクつき: リストビューをスクロールした際の「描画待ち」が軽減され、スムーズになった。

もちろん、サーバーの負荷状況にもよりますが、「サーバーからの応答は来ているのに画面が白いまま」という状態であれば、ブラウザの変更で改善する可能性が非常に高いです。

まとめ:コストゼロの改善策から始めよう

VtigerCRMが重くなった時、すぐにVPSのプランを上げたり、高価なサーバーへ移行したりする前に、まずは以下のステップを試してみてください。

  1. Google Chrome以外のブラウザ(EdgeやFirefox)でVtigerにログインする。
  2. 同じ重たいリスト画面を表示して比較する。

もしこれで改善が見られるなら、原因はサーバーではなく「クライアントサイド(PC側の描画)」にあります。これなら追加コストはゼロです。

「最近Vtigerが重くて仕事にならない」と嘆いているスタッフの方がいれば、ぜひ「EdgeかFirefoxで開いてみて」とアドバイスしてみてください。それだけで解決するかもしれません。