プロファイル (Profiles) は、ユーザーがシステム上で「具体的にどのような操作を行えるか」を定義する機能です。

ロール(Roles)が「データの見える範囲(階層)」を決めるのに対し、プロファイルは「権限の内容(表示・作成・編集・削除)」を決定します。「営業担当者は見積書を作成できるが、削除はできない」「パートタイマーは顧客リストを見るだけで、編集はできない」といった細かい制御を行うために使用します。

0. 機能イメージ図

プロファイルが制御する「3つの壁(モジュール、アクション、フィールド)」の概念を図解しました。

graph LR
    USER("👤 ユーザー")
    
    subgraph PROFILE ["プロファイル (権限のフィルター)"]
        direction TB
        
        LAYER1{"① モジュール<br>(入り口)"}
        LAYER2{"② アクション<br>(操作)"}
        LAYER3{"③ フィールド<br>(項目)"}
        
        ALLOW_MOD["⭕ 顧客管理<br>❌ 経理管理"]
        ALLOW_ACT["⭕ 作成・編集<br>🚫 削除禁止"]
        ALLOW_FLD["⭕ 電話番号<br>🙈 原価 (非表示)"]
    end
    
    DATA["💾 CRMデータ"]

    USER --> LAYER1
    LAYER1 --- ALLOW_MOD
    ALLOW_MOD --> LAYER2
    LAYER2 --- ALLOW_ACT
    ALLOW_ACT --> LAYER3
    LAYER3 --- ALLOW_FLD
    ALLOW_FLD --> DATA

    style USER fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0
    style PROFILE fill:#fff3e0,stroke:#ef6c00,stroke-width:2px
    style DATA fill:#e8f5e9,stroke:#2e7d32,stroke-width:2px
    
    style ALLOW_MOD fill:#ffffff,stroke:#666
    style ALLOW_ACT fill:#ffffff,stroke:#666
    style ALLOW_FLD fill:#ffffff,stroke:#666

1. 主な特徴

  • モジュールごとの権限設定: 顧客、案件、チケットなどのモジュールごとに、「表示・作成・編集・削除」の可否を個別に設定できます。
  • フィールドレベルのアクセス制御: 特定のフィールド(例:原価、上長用コメント)を「非表示」にしたり「読み取り専用」にしたりできます。
  • ツール・機能の制限: エクスポート、インポート、重複チェック、一括編集などの便利機能の使用可否を制御できます。
  • 再利用性: 一度作成したプロファイル(例:「一般営業用」)は、複数のユーザーやロールに割り当てて使い回せます。

2. 設定画面へのアクセス

  1. メニューの 歯車アイコン(設定) > CRM設定 をクリックします。
  2. ユーザー管理 > プロファイル をクリックします。

3. 設定手順

3.1. 新規プロファイルの作成

  1. 画面右上の + プロファイルの追加 ボタンをクリックします。
  2. プロファイル名: プロファイル名を入力します。(例:営業プロファイル, サポートプロファイル)
  3. 説明: 説明を入力します。(任意)
  4. 複製: 既存のプロファイル(例:Administrator)をコピーして作成すると、設定の手間が省けます。

3.2. 権限の詳細設定 (Privileges)

設定画面は縦に長いリストになっています。以下の項目を順に設定します。

A. 全体権限

  • 表示にチェック: すべてのデータを閲覧可能にする(※通常はOFF推奨)。
  • 編集にチェック: すべてのデータを編集可能にする(※通常はOFF推奨)。
    • ※ここをONにすると、ロールの階層に関係なく全データが見えてしまうため、基本的にはOFFにして個別に設定します。

B. モジュール権限

各モジュールに対して、以下のチェックボックスを設定します。

項目名説明
フィールドとツールの権限▼をクリックすると、そのモジュールの詳細設定が開きます。
作成 / 編集レコードの新規作成と編集を許可します。
表示レコードの閲覧を許可します。
削除レコードの削除を許可します。
※一般ユーザーにはチェックを外す(削除禁止)のが一般的です。

C. フィールドとツール権限

モジュール名の横の「▼」を開くと、さらに細かい設定が可能です。

  • フィールド権限:
    • 各フィールドに対して「非表示」や「書き込み不可」を設定できます。
    • 例:「原価」フィールドは一般社員には見せない、など。
  • ツール権限:
    • インポート、エクスポート、重複チェックなどの機能使用を許可するか設定します。
    • 例:顧客データの持ち出しを防ぐため、「エクスポート」のチェックを外す。

4. プロファイルの割り当て

作成したプロファイルは、ユーザー作成時またはロール設定時に割り当てます。

  1. ロール設定 (Roles) 画面へ移動します。
  2. 対象のロール(例:営業部門)を編集します。
  3. 権限 欄で 権限を既存プロファイルから割り当てる を選び、作成したプロファイル(例:営業プロファイル)を選択して保存します。

5. 活用事例(レシピ)

事例1: 一般営業担当者向け (Sales Standard)

  • 目的: 自分の商談は進められるが、データの削除や持ち出しは禁止する。
  • 設定:
    • 顧客企業 / 顧客担当者 / 案件: 削除のみOFF
    • ツール: エクスポートのチェックを全て外す。
    • フィールド: 「承認ステータス」フィールドを 編集不可にする。

事例2: パート・アルバイト向け (View Only)

  • 目的: データ入力はさせず、顧客情報の確認と電話対応のみを任せる。
  • 設定:
    • 顧客企業 / 顧客担当者 : 表示のみON
    • ツール: すべてOFF。

事例3: 経理担当者向け (Accounting)

  • 目的: 請求書や入金管理のみ行い、営業案件は見せない。
  • 設定:
    • 請求書: ON。
    • 案件 / 見込客: アクセス権なし(チェックを全て外す)。