共有アクセス (Sharing Access) は、モジュールごとにデータの「デフォルトの公開範囲」を決定し、必要に応じて「例外的な共有ルール」を作成する機能です。
ロール(Roles)の設定では「上司は部下のデータが見える」という縦の関係が決まりますが、この共有アクセス設定では、「隣の部署のデータを見せるか?」「基本は非公開だが、特定のチームだけには共有するか?」といった横のつながりや例外ルールを制御します。
目次
0. 機能イメージ図
「基本は非公開(壁がある状態)」に対して、「共有ルールで穴を開けて通す」イメージを図解しました。
graph TD
DEFAULT["🔒 基本設定: Private (非公開)<br>※自分のデータしか見えない"]
subgraph TEAM_A ["営業チームA"]
USER_A("👤 田中 (Aチーム)")
DATA_A["📄 田中の案件"]
USER_A --> DATA_A
end
subgraph TEAM_B ["営業チームB"]
USER_B("👤 鈴木 (Bチーム)")
DATA_B["📄 鈴木の案件"]
USER_B --> DATA_B
end
WALL("🚧 壁 (アクセス不可)<br>通常、田中は鈴木の案件が見えない")
RULE("🔓 共有ルールの適用<br>『BチームのデータをAチームに見せる』")
RESULT("👀 閲覧可能になる<br>(田中が鈴木の案件を見れる)")
DEFAULT --> TEAM_A & TEAM_B
TEAM_A -.-> WALL
WALL -.-x TEAM_B
WALL --> RULE
RULE --> RESULT
RESULT -.->|⭕ アクセス成功| DATA_B
style DEFAULT fill:#ffcdd2,stroke:#c62828,stroke-width:2px
style TEAM_A fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0
style TEAM_B fill:#fff3e0,stroke:#ef6c00
style RULE fill:#fff9c4,stroke:#fbc02d,stroke-width:2px
style RESULT fill:#e8f5e9,stroke:#2e7d32,stroke-width:2px
1. 主な特徴
- デフォルト権限の設定: モジュールごとに「Public(全員が見れる)」か「Private(担当者と上司のみ)」かを設定します。
- 共有ルールの作成 (Exceptions): 「Private」に設定されたモジュールに対し、「営業1課のデータを、営業2課にも閲覧のみ許可する」といった例外ルールを追加できます。
- 双方向/単方向: データを互いに見せ合うか、一方的に見せるだけかを選択できます。
- 権限レベル: 共有する際、「閲覧のみ(Read Only)」か「編集も許可(Read/Write)」か指定できます。
2. 設定画面へのアクセス
- 画面右上の 歯車アイコン(Settings) > CRM Settings をクリックします。
- ユーザー管理 > 共有アクセス をクリックします。
3. 設定手順
3.1. デフォルト権限の設定
まず、組織全体としての基本方針を決めます。
- 各モジュールに対し、以下のいずれかを選択します。
- Public: Read, Create/Edit, Delete: 全員が全データに対してフルアクセス可能。
- Public: Read, Create/Edit: 全員が閲覧・編集可能(削除は不可)。
- Public: Read Only: 全員が閲覧可能(編集は担当者のみ)。
- Private: 【推奨】 担当者とその上司のみがアクセス可能。他のユーザーからは見えません。
- 新しいルールの適用 をクリックして保存します。
- ※変更後、権限の再計算(Recalculate)が行われるため、反映に少し時間がかかる場合があります。
3.2. 例外ルールの追加 (Sharing Rules)
「Private(非公開)」に設定したモジュールに対して、特定の部署間だけ見えるようにする「穴あけ」を行います。
- 対象モジュール(例:案件)のセクションまでスクロールします。
- + カスタムルールの追加 ボタンをクリックします。
- 以下の情報を設定します。
| 項目名 | 説明 |
| Share Data of (誰のデータを) | 公開元となるグループやロールを選択します。 (例:Role「Sales Team A」) |
| Share Data with (誰に見せるか) | 公開先となるグループやロールを選択します。 (例:Role「Sales Team B」) |
| With Permission (権限レベル) | Read Only: 見るだけ許可。 Read/Write: 編集も許可。 |
- 保存 をクリックします。
4. 活用事例(レシピ)
事例1: 営業チーム間の競争意識向上(相互共有)
- 設定: 商談を「Private」に設定。
- ルール:
- 「東京営業部」のデータを「大阪営業部」に「Read Only」で共有。
- 「大阪営業部」のデータを「東京営業部」に「Read Only」で共有。
- 効果: お互いの案件内容は編集できないが、進捗状況を見て刺激し合うことができます。
事例2: サポート部門への情報共有
- 設定: 連絡先を「Private」に設定(営業担当のみが保有)。
- ルール:
- 「営業部」のデータを「サポート部」に「Read/Write」で共有。
- 効果: サポート部門が問い合わせを受けた際、営業が登録した顧客情報を参照・修正できるようになります。
事例3: 経営層への全公開
- 設定: 全モジュールを「Private」。
- ロール設定: 経営層をロール階層の最上位(CEO)に配置。
- 効果: 共有ルールを設定しなくても、ロールの仕組みにより、最上位者は下位すべての「Private」データを閲覧できます(共有ルールは不要です)。