メールコンバーター (Mail Converter) は、指定したメールアドレス(Gmailや会社の代表アドレス)に届いたメールを定期的にスキャンし、自動的にCRMのレコードとして取り込む機能です。

「support@company.com」に届いたメールを自動的に「サポートチケット」に変換したり、顧客から届いたメールを自動的にその顧客(連絡先)の「関連メール」として紐付けたりすることができます。

外部のメールサーバーから定期的にメールを取得し、CRM内のレコードに変換する流れを図解しました。

1. 主な特徴

  • メールスキャン: 定期的(例:15分ごと)にメールボックスをチェックし、新着メールを取り込みます。
  • 自動チケット作成: お問い合わせメールから、件名や本文を引き継いで「トラブルチケット」を自動起票できます。
  • 関連付け(アーカイブ): 送信元のメールアドレスをもとにCRM内の「連絡先」や「組織」などを検索し、その履歴としてメールを保存します。
  • 添付ファイルの取り込み: メールに添付されていたファイルも、チケットやドキュメントとしてCRM内に保存されます。

2. 設定画面へのアクセス

  1. 画面右上の 歯車アイコン(Settings) > CRM Settings をクリックします。
  2. Other Settings(その他の設定) > Mail Converter(メールコンバーター) をクリックします。

3. 設定手順

設定は「メールボックスの登録」と「処理ルール(Rule)の作成」の2段階で行います。

3.1. メールボックスの作成 (Create Mailbox)

スキャン対象となるメールアカウントを登録します。

  1. 画面右上の + Create Mailbox ボタンをクリックします。
  2. 以下の情報を入力します(IMAP対応のアカウントが必要です)。
項目名説明
Scanner Name管理用の名前。(例:サポート用Gmail)
Server NameIMAPサーバーのアドレス。(例:imap.gmail.com
User Name / Passwordメールアカウントのログイン情報。
※Gmail等は「アプリパスワード」が必要です。
Protocol通常は IMAP4 を選択します。
SSL OptionsSSL または TLS を選択します。
Look ForUnread(未読メールのみ)を推奨します。
After ScanMark as Read(既読にする)を選択します。
  1. Next をクリックし、接続に成功するとフォルダ選択画面に移ります。
  2. スキャンしたいフォルダ(通常は INBOX)を選択して保存します。

3.2. ルールの作成 (Add Rule)

取り込んだメールをどう処理するかを定義します。

  1. 登録したメールボックスの設定画面で、Actions > Add Rule をクリックします。
  2. 条件 (Conditions):
    • どのようなメールを対象にするか設定します。(例:Subject Contains [Support] など。全てのメールを対象にする場合は空欄でも可)
  3. アクション (Actions):
    • Create Ticket: メールの内容で「チケット」を新規作成します。
    • Add to Contact: 送信元アドレスと一致する「連絡先」を探し、そのメール履歴に追加します。
    • Update Ticket: チケット番号が含まれる返信メールの場合、既存チケットを更新(コメント追加)します。

4. 活用事例(レシピ)

事例1: カスタマーサポートの自動化

  • 設定:
    • メールボックス: support@yourcompany.com
    • アクション: Create Ticket (Open Ticket from Email)
  • 効果: 顧客がサポート宛にメールを送ると、自動的にチケットが作成され、サポートチームが対応を開始できます。メールの件名がチケット名、本文が詳細内容になります。

事例2: 営業メールの自動アーカイブ

  • 設定:
    • メールボックス: sales@yourcompany.com
    • アクション: Add to Contact
  • 効果: 顧客(連絡先)から届いたメールが、自動的にその顧客の「Emails」関連リストに紐付けられます。担当者が手動で履歴を残す手間が省けます。

事例3: 特定件名の振り分け

  • 設定:
    • 条件: Subject Contains 請求について
    • アクション: Create Ticket (カテゴリを「経理」に指定できる拡張機能等と併用するとより効果的)
  • 効果: 特定のキーワードを含むメールだけをシステムに取り込み、スパムや無関係なメールを除外します。

機能イメージ図(ポンチ絵)

graph TD
    SERVER(("📧 メールサーバー<br>(SMTPなど)"))
    
    subgraph CRM ["Vtiger CRM (Mail Converter)"]
        SCANNER("🔄 メールスキャナー<br>(15分ごとにチェック)")
        RULE{"⚡ ルール判定"}
        
        ACTION1["🎫 チケット自動作成<br>(サポート宛メール)"]
        ACTION2["🔗 顧客データに紐付け<br>(営業宛メール)"]
        ACTION3["🗑️ 無視/除外"]
    end
    
    RESULT1["サポート担当が<br>チケット対応開始"]
    RESULT2["顧客画面に<br>メール履歴が残る"]

    SERVER --> SCANNER
    SCANNER --> RULE
    
    RULE -- "条件A: support@..." --> ACTION1
    RULE -- "条件B: sales@..." --> ACTION2
    RULE -- "その他" --> ACTION3
    
    ACTION1 --> RESULT1
    ACTION2 --> RESULT2

    style SERVER fill:#333,stroke:#000,color:#fff
    style CRM fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0,stroke-width:2px
    style ACTION1 fill:#fff9c4,stroke:#fbc02d
    style ACTION2 fill:#fff9c4,stroke:#fbc02d
    style ACTION3 fill:#f5f5f5,stroke:#999,color:#999