受注書 (Sales Orders) は、顧客からの注文が確定したことを記録する伝票モジュールです。
見積書(Quotes)が承認された後、実際に商品を納品したり請求書(Invoice)を発行したりする前の「受注確定」段階で作成します。重要な機能として、この受注書を作成したタイミングで製品の在庫引き当て(在庫の減少)が行われます。また、毎月の保守費などを自動請求する「定期請求(Recurring Invoice)」の親データとしても機能します。
目次
0. 機能イメージ図
受注書が「在庫」と「請求」のコントロールタワーであることを図解しました。
graph TD
QUOTE["📄 見積書 (Quote)"]
subgraph SO_PROCESS ["📑 受注書 (Sales Order) の役割"]
SO["受注確定・作成"]
STOCK_ACTION("📉 在庫連動")
RECURRING_ACTION("🔄 定期設定")
end
subgraph RESULT ["システムへの反映"]
STOCK["📦 製品在庫の減少<br>(引き当て・確保)"]
AUTO_INV["💵 定期請求書<br>(毎月自動作成)"]
MANUAL_INV["💵 通常請求書<br>(手動作成)"]
end
QUOTE -- "変換" --> SO
SO --> STOCK_ACTION
STOCK_ACTION --> STOCK
SO --> RECURRING_ACTION
RECURRING_ACTION -- "On" --> AUTO_INV
RECURRING_ACTION -- "Off" --> MANUAL_INV
style SO_PROCESS fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0,stroke-width:2px
style STOCK fill:#ffcc80,stroke:#ef6c00,stroke-width:2px
style AUTO_INV fill:#e8f5e9,stroke:#2e7d32,stroke-width:2px
style QUOTE fill:#ffffff,stroke:#333,stroke-dasharray: 5 5
1. 主な特徴
- 見積からの変換: 承認された見積書をワンクリックで受注書に変換し、内容を引き継げます。
- 在庫の引き落とし: 受注書を作成すると、明細に含まれる製品の在庫数が自動的に減少します(在庫確保)。
- 定期請求 (Recurring Invoice): 「毎月25日に請求書を自動作成する」といったサブスクリプション契約の設定が可能です。
- 納品管理: 顧客への「注文請書」や、倉庫への「出荷指示書」としてPDF出力・利用できます。
2. 画面へのアクセス
- VTigerのメインメニュー(三本線アイコン)をクリックします。
- 販売管理 カテゴリ内の 受注 をクリックします。
3. 操作手順
3.1. 新規作成 (受注を追加)
通常は見積書から変換しますが、手動で作成する場合の手順です。
- 一覧画面右上の + Add Sales Order ボタンをクリックします。
- 基本情報:
- 件名 (必須): 件名を入力します。(例:〇〇株式会社 10月分注文)
- 顧客企業 / 顧客担当者: 顧客を選択します。
- ステータス: 現在の状態(作成済み, 承認済みなど)を選択します。
- 見積名: 元となる見積書があれば関連付けます。
- 明細行 (Item Details):
- 製品やサービスを追加し、数量・価格を設定します。
- 保存 をクリックします。
3.2. 定期請求の設定 (Recurring Invoice)
「毎月払い」などの契約の場合、受注書詳細画面で設定します。
- 繰り返し請求情報 ブロックを探します。
- 繰り返し有効: 有効の場合はチェックを入れます。
- 周期: 発行頻度を選択します。(例:月毎, 四半期毎)
- 開始時期/ 終了時期: 自動発行を開始する日と終了する日を設定します。
- 支払い期限: 支払期限までの日数(例:30日サイトならNet 30 days)を選択します。
- 請求ステータス: 自動作成される請求書の初期ステータス(例:自動作成済み)を選択します。
- ※これにより、サーバーのスケジューラ(Cron)が自動的に請求書を生成するようになります。
4. 活用事例(レシピ)
事例1: 在庫の確保(引当)
- 状況: 在庫が残り5個の製品に対し、A社から3個の注文が入った。まだ出荷はしていないが、他社に売らないように確保したい。
- 操作: A社向けの受注(数量3)を作成する。
- 効果: 製品マスターの「在庫数」が即座にマイナス3され、残り2個となる。これにより、在庫不足によるトラブルを防げます。
事例2: サブスクリプション(月額保守)の自動化
- 状況: 1年契約の月額保守サービス(毎月5万円)を受注した。
- 設定:
- 受注を作成し、明細に「月額保守」を入れる。
- 繰り返し請求 を有効化し、周期を「月毎」に設定。
- 効果: 毎月決まった日に、システムが自動的に5万円の請求書(Invoice)を作成してくれます。担当者は毎月の作成作業から解放されます。
事例3: 納品書としての利用
- 運用: 物品を出荷する際、受注をPDF出力し、タイトルを「納品書(Delivery Note)」に変更したテンプレートを使用する。
- 効果: 受注内容と完全に一致した納品書を同梱できます。