PBX Manager は、Vtiger CRMと電話システム(IP-PBX)を連携させ、CRM画面上からの電話発信(クリック・トゥ・コール)や、着信時の顧客情報ポップアップ表示を実現する機能です。

電話機とPCを行き来することなく、CRM画面だけで電話業務を完結できるため、コールセンターやインサイドセールス(テレアポ)の業務効率を飛躍的に向上させます。また、通話の開始・終了時間や通話録音へのリンクなどが「通話ログ」として自動的に記録されます。

0. 機能イメージ図

CRMが「電話機のコントローラー」となり、通話結果を自動的に吸い上げる仕組みを図解しました。

graph TD
    USER("👤 ユーザー (PC + 電話機)")
    
    subgraph CRM ["Vtiger CRM (PBX Manager)"]
        CLICK("🖱️ クリック発信")
        POPUP("🔔 着信ポップアップ")
        LOG("📝 通話ログ自動保存")
    end

    PBX(("📠 PBXサーバー<br>(IP電話交換機)"))
    
    CUSTOMER("📞 顧客")

    USER -- "番号クリック" --> CLICK
    CLICK -- "発信指示" --> PBX
    PBX -- "接続" --> USER
    PBX -- "接続" --> CUSTOMER
    
    CUSTOMER -.->|電話をかける| PBX
    PBX -.->|着信通知| POPUP
    POPUP -.->|画面に表示| USER
    
    PBX -- "通話終了" --> LOG

    style CRM fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0,stroke-width:2px
    style PBX fill:#333,stroke:#000,color:#fff
    style LOG fill:#e8f5e9,stroke:#2e7d32,stroke-width:2px
    style POPUP fill:#fff9c4,stroke:#fbc02d

1. 主な特徴

  • クリック・トゥ・コール (Click-to-Call): 顧客の電話番号をクリックするだけで、デスクの電話機(またはソフトフォン)から発信できます。
  • 着信ポップアップ: 電話がかかってくると、画面右下に通知が表示され、ワンクリックでその顧客の詳細画面を開くことができます。
  • 通話ログの自動記録: 「誰に、いつ、何分話したか」が自動的に記録され、顧客や担当者ごとの活動履歴として残ります。
  • 新規登録の効率化: 未登録の番号から着信した場合、その場で「リード」や「連絡先」として新規登録できます。

2. 画面へのアクセス

  1. VTigerのメインメニュー(三本線アイコン)をクリックします。
  2. ツール カテゴリ内の PBX Manager をクリックします。
    • ※ここは「通話ログ一覧」を見る画面です。
    • ※電話の発信操作は、各顧客(顧客担当者/見込客)の詳細画面から行います。

3. 操作手順

3.1. 電話をかける(発信)

  1. 顧客担当者(連絡先)見込客) の詳細画面を開きます。
  2. 電話番号フィールド(電話など)の横に表示されている 受話器アイコン または 電話番号リンク をクリックします。
  3. システムがPBXに信号を送り、まず自分の手元の電話機が鳴ります。
  4. 受話器を取ると、相手への発信が始まります。

3.2. 電話を受ける(着信)

  1. 電話がかかってくると、CRM画面の右下に Incoming Call(着信通知) ポップアップが表示されます。
    • 登録済みの場合: 顧客名と顔写真が表示されます。名前をクリックすると詳細画面へ移動し、過去の履歴を見ながら通話できます。
    • 未登録の場合: 「Unknown」と表示されます。「Add Lead / Add Contact」ボタンを押して、その場で新規登録が可能です。

3.3. 通話ログの確認

通話が終了すると、自動的に履歴が保存されます。

  1. メニューから PBX Manager を開きます。
  2. 通話履歴リストが表示されます。
    • Call Status: 通話状態(Completed, No Answer, Busyなど)。
    • Duration: 通話時間。
    • Recording: (PBX側の設定による)録音ファイルへのリンク。

4. 活用事例(レシピ)

事例1: テレアポ業務の高速化

  • 運用: 「未対応のリード一覧」を表示し、上から順に電話番号をクリックして発信。
  • 効果: 番号の打ち間違いがなくなり、発信までのタイムロスがゼロになります。結果として1日の架電数を大幅に増やせます。

事例2: 顧客対応品質の向上(CTI)

  • 状況: 顧客から電話がかかってきた。
  • 操作: ポップアップの顧客名をクリックし、購入履歴や過去のトラブルチケットを瞬時に表示。
  • 効果: 「〇〇の件ですね」とスムーズに会話に入ることができ、顧客に「自分のことを知ってくれている」という安心感を与えられます。

事例3: 営業活動の可視化

  • 分析: PBX Managerのログを集計し、「担当者ごとの通話時間」や「着信応答率」をレポート化。
  • 効果: ブラックボックスになりがちな電話対応の活動量や質を数値で評価できるようになります。