発注書 (Purchase Orders) は、仕入先(Vendor)に対して製品やサービスを注文するための伝票モジュールです。
社内の在庫が少なくなった時の「補充発注」や、顧客からの注文を受けて商品を仕入れる「受発注(バック・トゥ・バック)」の際に作成します。最も重要な機能は、商品が納品された際に在庫数(Qty. in Stock)を増加させる役割を持っていることです。
目次
0. 機能イメージ図
発注書が「仕入先」と「在庫(倉庫)」を繋ぐパイプラインであることを図解しました。
graph TD
TRIGGER("📉 在庫不足 / 受注発生")
subgraph PO_PROCESS ["📑 発注プロセス"]
CREATE["発注書 (PO) 作成<br>仕入先: A社<br>商品: PC 10台"]
SEND["📧 仕入先へ送付"]
WAIT["⏳ 納品待ち"]
end
subgraph VENDOR_SIDE ["🏭 仕入先 (Vendor)"]
SHIP["🚚 出荷・納品"]
end
subgraph RESULT ["システムへの反映"]
STATUS_CHANGE["操作: ステータスを<br>『入荷済み』に変更"]
STOCK_UP["📦 在庫数 +10<br>(自動増加)"]
end
TRIGGER --> CREATE
CREATE --> SEND
SEND --> WAIT
WAIT -.-> SHIP
SHIP --> STATUS_CHANGE
STATUS_CHANGE --> STOCK_UP
style PO_PROCESS fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0,stroke-width:2px
style VENDOR_SIDE fill:#f5f5f5,stroke:#666
style STOCK_UP fill:#ffcc80,stroke:#ef6c00,stroke-width:2px
1. 主な特徴
- 在庫の補充: 発注書を作成し、ステータスを「入荷済み(Received Shipment)」にすると、製品マスターの在庫数が自動的に増えます。
- 仕入先管理: どの仕入先(Vendor)に発注したか、いくらで仕入れたか(原価管理)を記録します。
- 受注書との連携: 顧客からの「受注書(Sales Order)」を元にして、必要な分だけを仕入先へ発注する連携が可能です。
- PDF出力: 作成した発注書をPDF化して、メールで仕入先に送信できます。
2. 画面へのアクセス
- VTigerのメインメニュー(三本線アイコン)をクリックします。
- 販売管理 カテゴリ内の 発注 をクリックします。
3. 操作手順
3.1. 新規作成 (発注を追加)
- 一覧画面右上の + 発注を追加 ボタンをクリックします。
- 基本情報:
- 件名 (必須): 件名を入力します。(例:10月度在庫補充)
- 仕入先名: 発注先のベンダーを選択します。
- ステータス: 現在の状態を選択します(作成済み, 承認済みなど)。
- 申請番号: 必要であれば社内の稟議番号などを入力します。
- 明細行 (Item Details):
- 発注する製品を選択し、数量(Qty)と仕入単価(List Price)を入力します。
- 保存 をクリックします。
3.2. 在庫の反映(入荷処理)
商品が届いたら、システム上の在庫数を増やします。
- 対象の発注書を編集モードで開きます(または詳細画面でフィールド編集)。
- ステータス を 入荷済み に変更します。
- 保存します。
- これにより、明細行に含まれる製品の「在庫数」が、発注数分だけ自動的に増加します。
3.3. 受注書からの作成
顧客からの注文(Sales Order)に基づいて発注する場合の手順です。
- 受注 モジュールで、対象の受注書を開きます。
- 画面右上の その他 ボタンから 作成 注文 を選択します。
- 製品情報がコピーされた状態で発注書作成画面が開くので、仕入先を選択して保存します。
4. 活用事例(レシピ)
事例1: 在庫切れ防止(定期補充)
- トリガー: 製品リストで「在庫数が再発注レベル(Reorder Level)を下回っている製品」をフィルタリング。
- 操作: それらをまとめてベンダーA社への発注書に登録。
- 効果: 欠品を防ぎ、適正な在庫レベルを維持できます。
事例2: 直送(ドロップシッピング)管理
- 状況: 自社倉庫を通さず、仕入先から顧客へ直接納品してもらう。
- 操作:
- 受注書(Sales Order)を作成。
- そこから発注書(Purchase Order)を作成。
- 発注書の「配送先住所」を顧客の住所に変更してベンダーへ送付。
- 効果: 伝票の転記ミスをなくし、スムーズな直送手配が可能です。
事例3: 外注費の管理
- 状況: プロジェクトの一部を外部パートナーに委託する。
- 操作: 「サービス(Services)」として登録された作業項目を発注書に載せて発行。
- 効果: 「いつ・誰に・いくら」発注したかのコスト管理ができ、後日の請求書照合が楽になります。