はじめに
賃貸仲介、売買、物件管理を行う不動産会社の皆様。
「反響はあるのに決まらない」「事務作業で営業に出られない」といった、以下のような悪循環に陥っていませんか?
- 反響対応の遅れ: SUUMOやHOMESからの問い合わせメールが大量に来て、返信が遅れている間に他社で決められてしまう。
- 追客の属人化: 「あの物件どうなりました?」とお客様から連絡が来て初めて、担当者が追客を忘れていたことに気づく。
- 内見の手間: 図面の手配、鍵の所在確認、オーナーへの連絡… 内見前の準備だけで時間が過ぎていく。
- 重説・契約書の山: 契約が決まった後も、住所や氏名を何度も手書き入力して書類を作成しており、ミスが怖い。
今回は、これら不動産業界の「スピード負け」と「事務負担」を解消し、VtigerCRMとVTExpertsの拡張機能を活用して、スピーディーに成約へ導く方法をご提案します。
1. 全体像:不動産向けCRMエコシステム
不動産ビジネスの鉄則は「鉄は熱いうちに打て(即レス)」と「物件と顧客のマッチング」です。
このシステムでは、ポータルサイトからの反響取込から、自動追客、内見管理、そして契約書類の作成までを一気通貫で自動化します。
業務プロセス連携イメージ
graph TD
subgraph 集客_反響
A[SUUMO_HOMES] -->|メール自動取込| CRM((Vtiger CRM))
B[自社サイト] -->|Webフォーム| CRM
end
subgraph 追客_マッチング
CRM -->|即時サンクスメール| C[自動返信]
C -->|希望条件マッチング| D[物件提案メール]
D -->|LINE連携| E[内見予約調整]
end
subgraph 内見_申込
E -->|現地案内| F[スマホで物件確認]
F -->|タブレット申込| G[電子申込書]
G -->|審査| H[保証会社連携]
end
subgraph 契約_管理
H -->|審査OK| I[重説_契約書作成]
I -->|成約| J[鍵渡し_入居]
J -->|更新管理| K[更新時期アラート]
end【図解】不動産特有のデータ構造(ER図)
「物件(Property)」を軸に、「誰が(顧客)」「誰の物件を(オーナー)」「いつ借りたいか(案件)」を管理します。
graph LR
%% ノード定義
classDef blue fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0,stroke-width:2px;
classDef green fill:#e8f5e9,stroke:#2e7d32,stroke-width:2px;
classDef orange fill:#fff3e0,stroke:#ef6c00,stroke-width:2px;
classDef red fill:#ffebee,stroke:#c62828,stroke-width:2px;
subgraph オーナー_管理
Landlords(物件オーナー)
Properties(物件情報_部屋)
end
subgraph 顧客_反響
Leads(反響_見込客)
Contacts(契約者_入居者)
end
subgraph 営業プロセス
Potentials(賃貸_売買案件)
Tours(内見予約_履歴)
end
subgraph 契約_書類
Contracts(賃貸借契約)
Documents(重説_図面PDF)
endポイント:
- Properties(物件情報): 住所、間取り、賃料だけでなく、「鍵の場所」「管理会社連絡先」などの社内共有事項も管理。
- Potentials(案件): 顧客の希望条件(エリア、賃料、ペット可など)を登録し、物件とのマッチングに使います。
2. フェーズ別・課題解決シナリオ
フェーズ1:反響対応(スピード勝負)
【課題】 営業時間外や休日に入った問い合わせへの対応が翌日になり、その間に顧客の熱が冷めてしまう。
★解決策:
- メール自動取り込み&即時返信: ポータルサイトからのメールを解析し、顧客情報をCRMに自動登録。「お問い合わせありがとうございます。担当よりご連絡します」というメールを24時間365日即座に自動送信します。
- 未対応アラート: 反響から1時間以内にステータスが動いていない場合、店長のスマホに警告通知を飛ばし、放置を防ぎます。
フェーズ2:追客・内見予約(自動化)
【課題】 営業担当が個別にメールを送っているため、文面がバラバラで、追客漏れも多発。電話に出てもらえない。
★解決策:
- ステップメール: 反響後、1日目「おすすめ物件」、3日目「内見のご案内」、7日目「条件変更の提案」など、シナリオに沿って自動でメールを配信。
- マッチング提案: 顧客の「希望条件」と「登録物件」を自動照合し、「新着でご希望に近い物件が出ました!」とタイムリーに案内できます。
フェーズ3:内見・申込(ペーパーレス)
【課題】 内見時に図面、鍵預かり証、カメラ、スリッパ…と持ち物が多く、申込書も手書きのため、字が読めずに審査が遅れる。
★解決策:
- スマホで物件情報: 担当者はスマホでCRMを見れば、物件の「鍵の場所(キーボックス暗証番号)」や「管理会社の注意書き」をその場で確認できます。
- タブレット申込: 現地で気に入ったら、タブレットで申込フォームに入力。その場で身分証をカメラで撮ってアップロードすれば、即座に社内の審査フローが回ります。
フェーズ4:契約・重要事項説明(事務削減)
【課題】 重要事項説明書、賃貸借契約書、紛争防止条例に基づく書面… 同じ住所と氏名を何度も手入力し、誤字脱字チェックに疲弊する。
★解決策:
- 帳票一括作成: 顧客情報と物件情報がCRMにあるため、PDF Makerを使えばすべての契約書類をワンクリックで作成。入力ミスはゼロになります。
- 更新管理: 契約期間満了の3ヶ月前に自動で「更新のお知らせ」タスクを生成。更新手数料の請求漏れを防ぎます。
【業務フロー】内見から申込・審査まで
sequenceDiagram
participant Customer as 顧客
participant Sales as 営業担当
participant System as Vtiger CRM
participant Guarantor as 保証会社/オーナー
Note over Sales: 内見開始
Sales->>System: スマホで「鍵情報」確認
Customer->>Sales: 「この部屋で決めたい」
Sales->>System: タブレット申込画面を表示
Customer->>System: 基本情報入力・免許証撮影
System->>Sales: 申込データ登録完了通知
Note over Sales: 帰社せずに審査開始
Sales->>System: 審査用書類出力(PDF)
System->>Guarantor: 申込書・身分証をFAX/メール送信
Guarantor-->>Sales: 審査承認
Sales->>System: ステータスを「契約準備」へ変更
System->>Sales: 重説・契約書を自動生成3. 導入によるBefore/After
「紙と電話」のアナログ不動産から、スマートな「テック不動産」へ変革します。
| 業務プロセス | 導入前 (アナログ・属人化) | 導入後 (システム化・自動化) |
| 反響対応 | 手動返信でタイムラグ発生・機会損失 | 自動取込&即返信で顧客をロック |
| 追客業務 | 担当者の記憶頼みで放置・忘れ | ステップメールで自動的に継続フォロー |
| 物件確認 | 図面や鍵情報を紙で持ち歩き | スマホで全物件情報を現地確認 |
| 入居申込 | 手書き申込書で判読困難・記入漏れ | タブレット入力で即データ化・審査へ |
| 契約書類 | 何度も同じ情報を手入力・誤字多発 | ワンクリックで全書類一括作成 |
4. 最後に
不動産業界において、情報は「鮮度」が命です。
しかし、その情報を扱う業務が旧態依然としていては、せっかくの良物件も成約に繋がりません。
VtigerCRMで物件と顧客情報を一元化し、VTExpertsで帳票作成やモバイル対応を強化することで、**「営業は接客に集中し、事務はシステムがやる」**体制が構築できます。
大手ポータルサイトに依存するだけでなく、自社のCRMで顧客を囲い込み、成約率を最大化させる仕組みを作りませんか?