はじめに
工場、建設現場、小売店などを定期的に訪問する「ルートセールス」を展開する商社・卸売業の皆様。
現場の営業担当者は、日々こんな悩みを抱えながら車を走らせていませんか?
- ただの「配送係」になっている: 訪問しても「何か無いですか?」「今はいいよ」で終わり、納品して帰るだけの繰り返し。
- 「いつものアレ」が属人化: ベテラン担当者は「そろそろA社の消耗品が切れる」と勘で分かるが、若手や引き継ぎ担当者には全く分からない。
- 在庫確認の電話リレー: 現場でお客様に「これ明日入る?」と聞かれ、会社に電話して在庫確認→折り返し連絡…のタイムロス。
- 帰社後の事務処理地獄: 1日10件回った後、事務所に戻ってから日報入力と翌日の見積作成を行い、結局残業になる。
今回は、これらルートセールスの「非効率」を解消し、VtigerCRMと**VTExpertsの拡張機能(Mobile App等)**を活用して、スマホ一つで「売れる現場」を作る方法をご提案します。
1. 全体像:ルートセールス向けCRMエコシステム
ルート営業の強みは「顧客接点の多さ」です。この接点を最大限活かすため、システムは**「スマホファースト(現場完結)」**で設計します。
事務所での準備、効率的な移動、そして現場での即時提案・受注までをシームレスに繋ぎます。
業務プロセス連携イメージ
graph TD
subgraph 訪問準備_移動中
A[訪問リスト確認] -->|住所タップ| CRM((スマホ_ブラウザ))
B[GoogleMap起動] -->|ナビゲーション| CRM
end
subgraph 現場_商談中
CRM -->|リアルタイム在庫確認| C[倉庫在庫データ]
CRM -->|リピート注文_複製| D[即時見積_受注]
D -->|クロスセル提案| E[ついで買い誘導]
end
subgraph 事務処理_完了
F[音声で日報入力] -->|移動中に完了| CRM
D -->|受注データ連携| G[配送手配_倉庫]
G -->|翌日納品| H[顧客]
end【図解】ルート営業特有のデータ構造(ER図)
ルートセールスでは、「訪問計画(スケジュール)」と「購買履歴(何が売れているか)」の連動が重要です。
graph LR
%% ノード定義
classDef blue fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0,stroke-width:2px;
classDef green fill:#e8f5e9,stroke:#2e7d32,stroke-width:2px;
classDef orange fill:#fff3e0,stroke:#ef6c00,stroke-width:2px;
classDef red fill:#ffebee,stroke:#c62828,stroke-width:2px;
subgraph 顧客情報
Accounts(顧客_配送先)
PurchaseHistory(過去の購買履歴)
end
subgraph 訪問活動
Events(訪問予定_カレンダー)
GeoLocation(住所_GoogleMap連携)
end
subgraph 現場業務
Inventory(商品在庫)
SalesOrder(受注_伝票)
end
subgraph 報告_分析
DailyReport(日報)
SalesAnalysis(売上分析)
end
%% リレーション
Accounts -->|住所連携| GeoLocation
Accounts -->|訪問時参照| PurchaseHistory
Events -->|ナビ起動| GeoLocation
PurchaseHistory -->|リピート発注| SalesOrder
Inventory -.->|引当| SalesOrder
SalesOrder -->|実績蓄積| PurchaseHistory
Events -->|結果入力| DailyReport
SalesOrder -->|集計| SalesAnalysis
%% スタイル
class Accounts,PurchaseHistory blue;
class Events,GeoLocation green;
class Inventory,SalesOrder orange;
class DailyReport,SalesAnalysis red;ポイント:
- GoogleMap連携: 顧客情報の住所をタップするだけで地図アプリが起動。カーナビ代わりに使用でき、スムーズな移動を支援します。
- PurchaseHistory(購買履歴): 顧客ごとの「よく買う商品リスト」を自動生成し、現場での提案漏れを防ぎます。
2. フェーズ別・課題解決シナリオ
フェーズ1:訪問計画と移動(リスト活用)
【課題】 効率の悪いルートで回ってしまい、移動時間が長い。近くに休眠顧客がいるのに気づかず素通りしてしまう。
★解決策:
- 訪問推奨リスト: 「最終訪問日から3ヶ月以上経過」している顧客をフィルタリングしたリストを作成。「今日はこのエリアの未訪問顧客を潰そう」といった計画的な活動が可能になります。
- ワンタップナビ: 訪問リストから顧客住所をタップするだけで、Googleマップ等のナビアプリが起動。住所を手入力する手間を省き、新人でも迷わず到着できます。
フェーズ2:商談・在庫確認(リアルタイム化)
【課題】 「これの在庫ある?」と聞かれるたびに会社へ電話確認。電話が繋がらないと回答できず、チャンスを逃す。
★解決策:
- スマホで在庫検索: 商品名やJANコード検索で、現在の倉庫在庫数をその場で確認。「あと5個なら即納できます!」と即答できます。
- 画像カタログ: 重い紙のカタログを持ち歩かなくても、スマホ画面で商品画像や仕様書をお客様に見せながら提案できます。
フェーズ3:見積・受注(その場で完結)
【課題】 「じゃあ頼んどいて」と言われた内容をメモし、帰社してからPCに入力。入力ミスや、帰社までのタイムラグで当日出荷に間に合わないことがある。
★解決策:
- リピート注文機能: 過去の注文履歴から「複製」ボタン一つで新しい受注伝票を作成。数量を変えるだけで発注完了です。
- LINE/メール送信: その場で作った見積書や注文請書(PDF)を、お客様のLINEやメールに即座に送信。「言った言わない」のトラブルも防げます。
フェーズ4:日報・報告(音声入力)
【課題】 疲れて事務所に戻ってからの日報入力が苦痛。「異常なし」とだけ書いて提出し、重要な現場情報が共有されない。
★解決策:
- 音声入力日報: 次の訪問先への移動中、車内でスマホに向かって喋るだけで日報入力完了。「A社の担当者様、新製品に興味あり。来週見積もり持参」といった定性情報も楽に残せます。
- チェックイン機能: 訪問先に着いたら、ステータスを「訪問中」に変更(チェックイン)。位置情報や時刻の記録はできませんが、活動開始時間を記録することで、簡易的な活動量管理が行えます。
【業務フロー】現場完結型の営業スタイル
sequenceDiagram
participant Sales as ルート営業
participant Mobile as スマホ画面_ブラウザ
participant Customer as 顧客
participant Office as 事務所/倉庫
Sales->>Mobile: 訪問推奨リストを確認
Sales->>Mobile: 住所タップでGoogleMap起動
Note over Sales: 顧客先到着
Sales->>Customer: 商談・御用聞き
Customer->>Sales: 「いつもの洗剤と、この手袋在庫ある?」
Sales->>Mobile: 在庫確認&見積作成
Mobile-->>Sales: 「在庫あり」表示
Sales->>Mobile: 受注登録(注文書PDF生成)
Sales->>Customer: 注文請書をLINE送信
Mobile->>Office: 出荷指示データ自動連携
Sales->>Mobile: 音声で日報入力
Note over Sales: 次の現場へ直行3. 導入によるBefore/After
「事務所に戻らないと仕事ができない」状態から、「どこでも仕事ができる」状態へシフトします。
| 業務プロセス | 導入前 (アナログ・御用聞き) | 導入後 (モバイル・提案型) |
|---|---|---|
| 訪問計画 | 勘と経験頼み・非効率な移動 | リストで可視化・ナビ連携でスムーズ移動 |
| 在庫確認 | 電話確認で待たせる・機会損失 | スマホで即時回答・その場で確保 |
| 受注処理 | メモを持ち帰り帰社後に入力 | 現場でスマホ入力・当日出荷締切に間に合う |
| 提案活動 | 言われた物を売るだけ (受動的) | 履歴から「そろそろ切れませんか?」 (能動的) |
| 日報報告 | 帰社後の残業入力・形骸化 | 移動中の音声入力・直帰推奨 |
4. 最後に
ルートセールスの価値は、お客様との「距離の近さ」です。
しかし、その貴重な時間を事務作業や移動に費やしてしまっては本末転倒です。
VtigerCRMと強力なモバイル機能(ブラウザ最適化)を組み合わせることで、営業担当者は**「事務員兼配送係」から「頼れる提案パートナー」へと進化**します。
「若手が育たない」「訪問件数が伸びない」とお悩みの商社様、スマホ一つで現場を変えるCRMの導入を検討してみませんか?