価格台帳 (Price Books) は、製品やサービスの「販売価格リスト」を複数パターン管理するためのモジュールです。

製品マスター(Products)に登録されている「標準単価(Unit Price)」とは別に、「代理店向け価格」「大口顧客向け価格」「夏季キャンペーン価格」といった異なる単価設定を作成できます。見積書や請求書を作成する際、どの価格台帳を適用するかを選択することで、相手に合わせた単価を自動的に呼び出すことができます。

0. 機能イメージ図

1つの製品が、適用する「価格台帳」によって異なる顔(価格)を見せる仕組みを図解しました。

graph TD
    PRODUCT(("📦 製品A<br>定価: 10,000円"))

    subgraph PRICE_BOOKS ["💰 価格台帳"]
        BOOK_A["🅰️ 代理店用リスト<br>単価: 8,000円"]
        BOOK_B["🅱️ 特別会員リスト<br>単価: 9,000円"]
        BOOK_C["🇺🇸 海外用リスト<br>単価: $80"]
    end

    subgraph QUOTE_PROCESS ["📝 見積作成"]
        SELECT{"価格台帳を選択"}
        
        QUOTE_A["📄 代理店向け見積<br>製品A: 8,000円"]
        QUOTE_DEF["📄 一般客向け見積<br>製品A: 10,000円"]
    end

    PRODUCT --- PRICE_BOOKS
    PRODUCT -- "標準" --> QUOTE_DEF
    
    PRICE_BOOKS --> SELECT
    SELECT -- "代理店用を選択" --> QUOTE_A
    SELECT -- "選択なし" --> QUOTE_DEF

    style PRODUCT fill:#ffcc80,stroke:#ef6c00,stroke-width:3px
    style PRICE_BOOKS fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0,stroke-width:2px
    style QUOTE_A fill:#e8f5e9,stroke:#2e7d32
    style QUOTE_DEF fill:#ffffff,stroke:#333

1. 主な特徴

  • マルチプライス: 1つの製品に対して、用途や顧客ランクごとに異なる価格を持たせることができます。
  • 通貨別設定: 海外取引がある場合、「USD用価格台帳」「EUR用価格台帳」のように通貨ごとのリストを作成できます。
  • 一括適用: 見積書作成時に価格台帳を選択すると、そのリストに含まれるすべての製品単価が適用されます。
  • 柔軟な紐付け: 「この製品はこの価格台帳に含めるが、あの製品は含めない」といった個別の紐付けが可能です。

2. 画面へのアクセス

  1. VTigerのメインメニュー(三本線アイコン)をクリックします。
  2. 販売管理 カテゴリ内の 価格台帳 をクリックします。

3. 操作手順

3.1. 新規価格台帳の作成 (価格台帳を追加)

まず、「どのような価格リストか」という箱(価格台帳自体)を作成します。

  1. 一覧画面右上の + 価格台帳を追加 ボタンをクリックします。
  2. 価格台帳名 (必須): 価格表の名前を入力します。(例:代理店卸価格表)
  3. 通貨: この価格表で使用する通貨を選択します。
  4. 有効: 有効にするにはチェックを入れます。
  5. 保存 をクリックします。

3.2. 製品・サービスの追加と価格設定

作成した価格台帳に、対象となる製品を登録し、その価格台帳専用の単価(List Price)を設定します。

  1. 作成した価格台帳の詳細画面を開きます。
  2. 右側(または関連リスト)の 製品 または サービス タブをクリックします。
  3. 製品を選択(またはサービス)ボタンをクリックします。
  4. 製品の一覧が表示されるので、この価格台帳に含めたい製品にチェックを入れます。
  5. 単価 の欄に、この価格台帳での提供価格を入力します。
    • (例:定価10,000円の製品に対し、ここでは8,000円と入力)
  6. 価格台帳を追加 をクリックして保存します。

4. 活用事例(レシピ)

事例1: 代理店ビジネス(卸値の管理)

  • 設定: 「代理店用価格台帳」を作成し、全製品を定価の80%の価格で登録。
  • 運用: 代理店A社への見積書を作成する際、明細ブロックで「代理店用価格表」を選択。
  • 効果: 製品を追加すると自動的に80%の価格(卸値)がセットされ、いちいち「定価×0.8」を電卓で計算する手間とミスがなくなります。

事例2: 期間限定キャンペーン

  • 設定: 「年末セール価格表」を作成し、セール対象の10製品だけを特別価格で登録。
  • 運用: 12月中の商談ではこの価格表を使用する。
  • 効果: 対象外の製品を選んだ場合は定価(または標準価格)が適用されるため、誤って対象外製品を安売りするリスクを減らせます。

事例3: 海外顧客への現地通貨対応

  • 設定: 通貨を「USD」にした「北米向け価格表」を作成し、ドル建ての固定価格($100など)を登録。
  • 効果: 為替レート換算(15,000円÷レート)による端数が出ず、キリの良い現地価格で商売ができます。