メールマネージャー (Mail Manager) は、Vtiger CRMの中に組み込まれた「Webメールクライアント(簡易メーラー)」です。

SMTPなどのメールをCRM画面内で直接送受信できるだけでなく、届いたメールの差出人がCRMに登録済みかを自動的にチェックし、その場で「リード」や「チケット」を作成したり、顧客履歴にメールを紐付けたりできるのが最大の特徴です。営業やサポート担当者が、メール対応をしながらシームレスにCRM更新を行うためのツールです。

0. 機能イメージ図

「メールを読む」だけでなく、そこから「CRMのアクション(登録・紐付け)」へ直結する流れを図解しました。

graph LR
    MAIL["📩 受信メール<br>From: tanaka@abc.co.jp"]
    
    subgraph MM ["Mail Manager (メーラー)"]
        VIEW("👀 メール閲覧画面")
        CHECK{"CRM内を自動検索<br>「この人知ってる?」"}
        
        UNKNOWN["❌ 知らない人<br>(未登録)"]
        KNOWN["⭕ 知ってる人<br>(登録済: 田中様)"]
    end

    subgraph ACTION ["アクション"]
        NEW("📝 新規登録ボタン<br>・リード作成<br>・チケット作成")
        LINK("🔗 紐付けボタン<br>・履歴に保存<br>・タスク作成")
    end
    
    DB[("💾 CRMデータベース")]

    MAIL --> VIEW
    VIEW --> CHECK
    
    CHECK --> UNKNOWN
    CHECK --> KNOWN
    
    UNKNOWN --> NEW
    KNOWN --> LINK
    
    NEW --> DB
    LINK --> DB

    style MM fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0,stroke-width:2px
    style ACTION fill:#fff3e0,stroke:#ef6c00,stroke-width:2px
    style DB fill:#e8f5e9,stroke:#2e7d32,stroke-width:2px
    style UNKNOWN fill:#ffffff,stroke:#666
    style KNOWN fill:#ffffff,stroke:#666

1. 主な特徴

  • CRM内蔵メーラー: 画面を切り替えずに、CRMの中でメールの確認・返信ができます。
  • 自動照合: 受信メールを開くと、差出人のメールアドレスがCRMに登録済みか(顧客か、新規か)を自動で検索して表示します。
  • ワンクリック登録: 未登録の差出人なら、メール内容を引き継いで「リード」「連絡先」「チケット」などをその場で新規作成できます。
  • メールの紐付け: 登録済みの顧客なら、ワンクリックでその顧客の履歴(関連リスト)にメールを保存できます。

2. 画面へのアクセス

  1. VTigerのメインメニュー(三本線アイコン)をクリックします。
  2. メールマネージャー をクリックします(または封筒アイコン)。

3. 操作手順

3.1. メールアカウントの設定

初回アクセス時に、使用するメールアカウント(IMAP)を設定します。

  1. メールボックスの設定(またはSettings)をクリックします。
  2. サーバータイプ: Gmail, Yahoo, Office365, Other から選択します。
  3. 以下の情報を入力します。
    • Mail Server Name / User Name / Password: メールサーバーの接続情報。
    • Refresh Time: 自動更新の間隔。
  4. 保存 をクリックします。

3.2. メールの閲覧とCRM連携

受信トレイが表示されます。メールをクリックして開くと、画面右側に 「CRMとの連携アクション」 が表示されます。

A. 差出人が「未登録」の場合

「No matching records found(一致するレコードが見つかりません)」と表示され、以下のボタンが出現します。

  • Add Contact: 連絡先として新規登録。
  • Add Lead: 見込み客として新規登録。
  • Add Organization: 会社として新規登録。
  • Add Ticket: 問い合わせチケットとして登録。
    • ※クリックすると、メールの件名や本文が転記された作成画面が開きます。

B. 差出人が「登録済み」の場合

差出人の名前(リンク)が表示され、以下の操作が可能です。

  • Select: そのメールを、表示されている顧客レコードに関連付けます(メール履歴として保存)。
  • Add Comment: メール内容を、顧客への「コメント」として投稿します。
  • Create To Do: このメールに関連するタスクを作成します。

4. 活用事例(レシピ)

事例1: 新規問い合わせのリード化

  • 状況: サイトのフォーム通知ではなく、個人のメールアドレスに直接「製品について知りたい」というメールが届いた。
  • 操作:
    1. Mail Managerでメールを開く。
    2. 右側の Add Lead をクリック。
    3. 名前や会社名を入力して保存。
  • 効果: メールソフトからコピペして登録する手間を省き、即座に営業対象として管理を開始できます。

事例2: クレームメールのチケット化

  • 状況: 既存顧客から「動かない」というメールが届いた。
  • 操作:
    1. Mail Managerでメールを開く(既存顧客として認識される)。
    2. Add Ticket(またはActions > Create Ticket)をクリック。
    3. メール本文が「Description」に入った状態でチケットが作成される。
  • 効果: サポート案件として起票され、SLA管理やチーム対応のフローに乗せることができます。

事例3: 対応履歴の集約

  • 状況: 顧客と何度もメールのやり取りをしたが、CRM上には記録が残っていない。
  • 操作: 重要なメールを開き、Associate(紐付け) ボタンを押す。
  • 効果: 顧客詳細画面の「Emails」関連リストにそのメールが表示されるようになり、他の担当者も経緯を確認できるようになります。