通貨 (Currencies) は、Vtiger CRMで取り扱う通貨の種類と、それらの交換レート(為替レート)を管理する機能です。
Vtigerは**多通貨(マルチカレンシー)**に対応しており、日本円(JPY)を基準としながら、米ドル(USD)やユーロ(EUR)建ての見積書や請求書を作成することができます。システムは設定されたレートに基づいて、すべての金額を基準通貨に換算して集計します。
目次
1. 主な特徴
- 多通貨対応: 海外顧客向けに、ドルやユーロなど異なる通貨で帳票を作成できます。
- 基準通貨 (Base Currency): システム全体の基準となる通貨(通常は自国の通貨)を1つ定めます。
- 為替レート管理: 基準通貨に対する各通貨の交換レートを設定・更新できます。
- 自動換算: 外貨で入力された金額は、レポートやダッシュボード上では基準通貨(円)に換算されて集計されます。
2. 設定画面へのアクセス
- 画面右上の 歯車アイコン(Settings) > CRM Settings をクリックします。
- Configuration(構成) > Currencies(通貨) をクリックします。
3. 設定手順
3.1. 通貨の追加 (+ Add Currency)
海外取引で使用する通貨を追加します。
- 画面右上の + Add Currency ボタンをクリックします。
- 以下の項目を設定します。
| 項目名 | 説明 |
| Currency Name | 通貨名を選択します。(例:USA, Dollars) |
| Currency Code | 通貨コード(例:USD)が自動入力されます。 |
| Symbol | 通貨記号(例:$)が自動入力されます。 |
| Conversion Rate | 基準通貨に対するレートを入力します。 (例:基準が円で、1ドル=150円の場合、「150」と入力) |
| Status | 「Active」にします。 |
- Save をクリックします。
3.2. レートの更新 (Edit Conversion Rate)
為替レートは日々変動するため、必要に応じて手動で更新します。
- 通貨リストから対象の通貨(例:USD)の Edit(編集) ボタンをクリックします。
- Conversion Rate を最新のレートに書き換えます。
- 保存すると、これ以降作成されるレコードには新レートが適用されます。
- ※過去に作成済みのレコードの金額は変動しません(作成時点のレートが保持されます)。
3.3. 基準通貨について(重要)
リストの一番上にある、Conversion Rateが「1」で固定されている通貨が 基準通貨(Base Currency) です。
- 通常、インストール時に設定した通貨(Japan, Yen)になっています。
- 注意: 運用開始後に基準通貨を変更することは推奨されません(過去の金額データの整合性が取れなくなる可能性があります)。
4. 活用事例(レシピ)
事例1: 海外顧客へのドル建て見積もり
- 設定: 通貨「USD」を追加し、レートを「150」に設定。
- 操作:
- 見積書作成画面で、Item Details の通貨設定(Currency)を「USD ($)」に変更。
- 商品単価をドルで入力(例:$100)。
- 結果:
- 顧客には「$100」の見積書が届きます。
- 社内の売上レポートでは「15,000円」として集計されます。
事例2: 社内レートの運用
- 運用: 毎月1回、経理担当者が「今月の社内レート」に基づいてVtiger上のConversion Rateを更新する。
- 効果: 常に会社の方針に沿ったレートで予実管理が可能になります。
5. 機能イメージ図(ポンチ絵)
「基準通貨(円)」と「外貨(ドル)」の関係、そして帳票作成時の動きを図解しました。
graph TD
ADMIN("👤 管理者")
subgraph SETTING ["💰 通貨設定"]
BASE["🇯🇵 基準通貨: JPY (円)<br>レート: 1.0 (固定)"]
FOREIGN["🇺🇸 外貨: USD (ドル)<br>レート: 150.0"]
end
subgraph OPERATION ["📝 見積作成 (ユーザー)"]
SELECT["通貨選択: USD ($)"]
INPUT["単価: $100"]
end
subgraph RESULT ["出力と集計"]
INVOICE["📄 顧客への見積書<br>表示: $100"]
REPORT["📊 社内売上レポート<br>換算: 15,000円"]
end
ADMIN --> SETTING
BASE --- FOREIGN
SETTING -.-> OPERATION
OPERATION --> SELECT
SELECT --> INPUT
INPUT --> INVOICE
INPUT -- "レート(150)で換算" --> REPORT
style SETTING fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0,stroke-width:2px
style OPERATION fill:#fff3e0,stroke:#ef6c00,stroke-width:2px
style INVOICE fill:#ffffff,stroke:#333
style REPORT fill:#e8f5e9,stroke:#2e7d32,stroke-width:2px